またデカール用のケミカルの話?そう、またなんです。でもね、コレなしではもうプラモ作れない。だって超ありがたいんだもん。
昨日完成した海外製プラモ(これはそのうち紹介します)を製作中に、ヤバいことに気がついたんです。デカールが異常に薄い。薄い上に塗装面に乗せると水抜けが異常に良くて全然動かない。動かないのを無理やり動かそうとすると、デカールの端がぐちゃぐちゃになってゲームオーバーになる。完成したら見えないところのデカールでこれを経験しておいて本当によかった……。
で、普段ならあらかじめ塗装面を水で濡らしておいたり、ピタッと吸い付いてしまったデカールもびちゃびちゃの筆で撫でたりすればどうにか動かせたりするんですが、今回のデカールは本当に神経質で、扱いが超難しい。ソフターなんか使ったら、触れた端からヘロヘロのクシャクシャに……。困った。
机を見るとそこにはハイキューパーツさんから「試してみてちょ」と送っていただいたデカールフィクサーがあるじゃないですか。
デカールフィクサー、簡潔に説明すると「デカールに付いてるノリと、デカールを滑らせるための界面活性剤が混ざったもの」です。デカールを滑らせるには水の表面張力を減衰させればいいので、古来「中性洗剤をちょっと垂らすのじゃ」みたいな話がありますが、ちょっとってどれくらいだかわからんし、ノリが効かなくなったりするんじゃね?という心配があります。しかし……。
デカール作業のやばいところって「位置は微妙に調整したいけど、最終的にはガッチリ固定されてほしい」という相反する欲求がある点なんですよね。ハイキューパーツのデカールフィクサーは界面活性剤とノリの配合によって「位置決めはゆっくりと/押さえつければその瞬間にビシッと固定」という夢のような性能を実現しています。これはまさに「蝶のように舞い、ハチのように刺す」デカールワークと言えるでしょう。
注意したいのは「デカールを軟化させる効力はない」ということ。強力なノリによってシルバリング(塗装面とデカールのあいだに微細な剥離が生じて白っぽく光ってしまう現状)が軽減される場合もありますが、デカールのフィルム自体を柔らかくしてディテールに密着させたければ、デカール軟化剤(例えばタミヤのマークフィットなど)を併用することをオススメします。
なんにせよ、プラモの作業は「猶予と確実性」のトレードオフが連続しがち。しかも緊張感のあるデカール貼りという作業が一気に楽になるこのツールがなければ、締め切りギリギリの戦いに勝つことはできませんでした。デカールフィクサー、ほんとにオススメです。みなさんも、ぜひ。
■まとめ&まめちしき
・デカールフィクサーの成分は界面活性剤(デカールが滑る)とノリ(デカールが強力に接着される)。
・デカールフィクサーにデカールを柔らかくする成分は入っていない。
・軟化剤とノリが合体したのがGSIクレオスのマークセッター。
・軟化剤「だけ」がほしいなら、タミヤのマークフィットやGSIクレオスのマークソフターを選ぶ。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。