1/35鉄筋コンクリートを作ろう! /リアリティの在り処とは

 この世で一番相性の良い組み合わせとは何か?カレーとライス?サイモン&ガーファンクル?エリみほ?いいえ、それは鉄筋とコンクリートです。鉄筋は引っ張りに強く、圧縮に弱い材料。逆にコンクリートは引っ張りに弱く、圧縮に強い材料。そんな2つの材料の長所と短所が補い合って1つの強固な材料、鉄筋コンクリートとなります。1+1で200だ!10倍だぞ10倍!…ってプラモの話はどうしたって?ご心配なく、今回は本職が建築関係のハイパーアジアが丁寧丁寧丁寧に1/35ミニチュア鉄筋コンクリートを作成してジオラマのダシにしようという魂胆です。では構えてください、ご安全に!!

 ▲ダイソーで買ってきた速硬セメントとステンの針金0.28mm納品状況

 今回は、この2つの材料を使ってRC造(鉄筋コンクリート造りの建物)の壁やスラブ(床&天井)をイメージして平板を作っていくことにします。1/1のコンクリ厚さとしては250mmを想定して、それを1/35にすると、250/35=83.33…約9mm。大体1cmぐらいでコンクリ平板のミニチュアを作ってやればそれっぽくなるはず!(今回私も初挑戦)

 まず鉄筋についてですが、壁やスラブで使う鉄筋はだいたい10,13,16mm径のものを組み合わせて使用しますので、1/35換算で0.28,0.37,0.46mmの針金が適当なサイズです。今回仕入れた0.28mmの針金は1/35スケールとすると10mmの鉄筋相当になるのでちょうど良さそう。余談ですが、よくよく調べると、建築ミニチュア用で1/24の本物の鉄筋が(有)金吾製作所さんで売られているぞ。すごい。

▲まず、針金をペンチなどで適当な長さに切って束ねて、指でしごきます。

 しごいたところで完全にまっすぐにはなりませんが、クセがある程度取れてまっすぐになります。

 配筋ですが、実際には縦横の格子状に200mm程度のピッチで鉄筋を配置することが多いので、1/35スケールとすると5.7mmのピッチで針金を置いておけば結構それっぽくなるはず。まず、ラップを敷いてその上に針金を配置しましょう。本当はピンコロ(コンクリートで出来た小さな立方体)等で鉄筋を浮かせてカブリ(鉄筋とコンクリートの外面までの空間)を取ったり、さらにスペーサーをかまして2重にしないといけないのですが、サイズ的に厳しいのでなかったことにします。

▲う~ん。歪んだ針金で5.7mmピッチは無理。まぁ、仕事じゃないのでこれでよし!!

 次に、コンクリート打設です。コンクリートとは実際には水、セメント、砂(細骨材)、砕石(粗骨材)で構成された混合物なのですが、ミニチュアなので、とりあえず水とセメントだけあればOK~。

▲「少しずつ水を入れたら、かき混ぜる」を繰り返して、水っぽくならないように練りましょう。

 お好み焼きの生地ぐらいの硬さがベスト。ちょっとでも水が多いとすぐもんじゃ焼きのようにトロトロになってしまうので注意!

▲生コン打設していきます。スランプ(コンクリの硬さ・流動性)、ヨシ!
▲竹串などで平たく伸ばしていきます。私が左官職人こね太郎です。
▲本職の私としたことが、工事看板を忘れていましたよ。なお、実際の工事現場ではアプリを使った看板のデジタル化がだいぶ進んでいますね。
▲適当に割っていきましょう。セイッ!

 コンクリートは本来2~3週間程度養生することで充分な強度を得ますが、24時間であればかなり柔らかいです。手ですぐパキっと折れます。

▲山折りにした方を下にして、鉄用のニッパーで適当に針金を切っていきます。

 ちょっと失敗。裏返した方はやっぱり針金が露出してしまいました。1度、コンクリを5mm程度に薄く伸ばしてから針金を置いて、また5mmコンクリを被せてやったほうが良かったかもしれません。

▲何回かコンクリを折り曲げて、針金を切断しまくったものがこちら。

 コンクリートなどの1部を破壊することを斫り(ハツリ)工事といいます。おや?意外といい感じ?

▲コンクリを置くベースを、タミヤの情景テクスチャーペイント(砂 ライトサンド)で作ります。
▲テクスチャーペイントが硬化したら、木工用ボンドをたっぷり置いてやります。ちなみに私は白子とエイヒレが大好きです。
▲コンクリガラ(ガラ:工事現場のゴミの事)をむにゅっと置く!ボンドがはみ出しても気にしない!
▲はみだしたボンドは周りにうすーく伸ばして……
▲作成中に出たコンクリのカスをぶちかます!
▲鉄筋コンクリートの鉄筋の表面はある程度サビています。GSIクレオスのウェザリングカラー、ステインブラウンで針金を塗りましょう。
▲1/35のミリタリーミニチュアを置いて完成!!
▲スケール感はバッチリじゃないですか!?

 余談ですが、実は以前作ったアメリカ歩兵機関銃チームセットのうち1人だけは踊らせるポーズがつけられず、グレてしまったのでした。イカツイ表情なんだけど、スマホを持たせると半笑いに見えるので怖いよ。人間の笑顔とは動物における威嚇だという仮説は有名な話。

 ホントはコンクリの中間から鉄筋が出ていれば更に本物っぽいのですが、ある程度の「リアリティ」が醸し出されているので満足しました。実際の鉄筋コンクリートはこのような壊れ方をしないでしょうし、鉄筋の形状、破砕されたコンクリートの粒度も本物とは全然違います。

 ただ、「模型」はそれそのものが「うそ」でありますので、どこまで再現してもいたちごっこです。超~リアルに軍服を塗装したところで、生地を構成する繊維の1本1本が塗装できるわけではありません。模型が本物とまったく同じという意味での「リアル」になることはないのです。ただ、リアルがどうなっているかを知っていることで、リアリティを高めていくことはできます。

 もっと言えば、リアルを知っているからこそ、どこまで作り込めばリアリティが付与されるのか、あえてリアリティをつけないのか等の選択肢が広がります。知っておいて損なことというのは一つもないと断言します。いや、マンガとアニメのネタバレだけは勘弁してください。

 ちょっと話がそれてしまいましたが、100均でセメントと針金を買ってくれば鉄筋コンクリートのジオラマが作れるよという今回の記事。最近の100均はすごいですね。いろんなものが揃います。針金を入れるとそれなりに手間がかかることが判明しましたので、セメントだけなら超簡単です。効果抜群のジオラマになりますよ。是非お試しあれ。

 また、私は建築関係者なので思い付きでこのようなことが出来ましたが、服飾関係者や飲食関係者など色々な業種のモデラーさんが、本職のアイデアを模型に落とし込んだものを作って紹介して頂ける世の中になれば、模型の世界はもっと豊かになると思います。ただの趣味人の私が言うのもアレですが、模型の世界を豊かにするのはプロモデラーだけではありません。ツイッターでもブログでも何でもいい、モデラーはいいアイデアを欲しています。お待ちしてます!

ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。オタクとプラモデルの関係性を哲学するのが趣味。noteではオタクによるオタクの為のプラモデル感想文を執筆中。