コルセアっていう飛行機、いいんですよ。何がいいって、全身ネイビーブルー。イギリスで実機見てきたんですけど、エンジンが収まってるカバーとコクピットとプロペラとタイヤとエンジン以外は全部ネイビーブルーで「これだったらもうプラスチックが紺色なら優勝じゃん」って思ったんですよね。塗りたいところは塗ればいいし、まあ塗らなくても紺色の飛行機ができたら「おお、コルセアじゃん!」って思えるところが素敵。
最近ウォルターソンジャパンという会社が展開している「モデルキット999」というシリーズがありまして、これが名前のとおり999円なんですよ、全部。量販店の割引価格ならもうちょっとした昼メシみたいな値段で買える。
プラスチックの色もいちばんモチーフのイメージに近くなるのを選んであるから、箱開けたときに「おお、これならイケそう!」という感覚がすごい。青い飛行機を作ろうとしてグレーのパーツが出てくると「これ塗るのか〜塗るんだよな〜」という気持ちになる人にはモッテコイです(オレは塗りたい日もあるし塗りたくない日もあるし、部分塗装でどうにかしちゃいたい日もあるし、その日の気分でプラモにかける手間を選んでもいいと思う派)。
えらい。飛行機のプラモには2種類あって、パイロットがついてるやつと、そうでないやつがある。パイロットがついてると「ラッキー!」という感じがします。無人の飛行機はちょっとさみしいし、パイロットを椅子にボーンと座らせるとコクピットの中が人間で埋まるので計器やシートを作り込まずにすむ、という効果もあります。
エンジンのカバー(カウルという)は完成後も付け外しができるようになっているので、あとからエンジンを眺めてニヤニヤしたいという人は、金属的な色に塗ってオイルでドビドビに汚れた状態にするのも楽しいでしょう。カウルを外さないぜ!という人はべつに塗らなくても気にならないです。プラモ(とくに飛行機)は複雑でごちゃごちゃしてて腕のふるい甲斐のありそうなところがだいたいツルンとした外装で覆われて見えなくなります。どこまでやるかは、自分との対話じゃ。
彫刻はけっこう味濃いめの凹モールドになっていますので、スミ入れも楽しいでしょうし、何もしなくても陰影がバチッと出て立体感あふれる雰囲気に見えます。やっぱこう、成型色(プラスチックの色)のままポーンと置いておくなら、これくらい濃い味のほうが見栄えがしますね。
デカールもばっちり入ってますし、999円なら失敗しても泣かない。もう1回チャレンジできる価格で、パーツ数も多くなくて、例えて言うならバッティングセンターで気持ちよく打てるようになるまでいくつか練習する、なんていう遊び方にも向いてると思うんです。
どこを何色で塗るかは自由ですが、エンジンとプロペラとタイヤは黒いほうがいいな、と思ったらつや消し黒の塗料やマーカーを用意すればいいですし、写真みたいにカウルにワンポイント色を入れるだけでも目を引く仕上がりになると思うんですよね。問題はキャノピーです。クリアーパーツに枠を描くというのはちょっと骨ですが、この作業は飛行機模型の宿命なんです。最初から塗っておいてくれればいいけど、それだと999円じゃなくなっちゃうかもね。まあ、これもいつか「筆でニョニョニョーっと描いてみよう」という記事をやってみます。
4つのパーツをパチパチパチと合わせれば、だいたい飛行機のカタチが見えてきました。こまかいところをしっかり作っても、土日で楽しい思いができそうなプラモ。今週末はみなさんも999円でプラモの海を泳いでみませんか。
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模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。