ここのところ軍艦の模型にハマっているnippper執筆陣ですが、私も昨日1等/2等輸送艦についてのラブレターをしたためてしまいました。で、本日モデルアートさんより着弾した『季刊 艦船模型スペシャル Vol.76』の見本誌を見てびっくり仰天鼻血がブー。なんつったって、表紙が2等輸送艦の揚陸シーンで戦車がビーチにオンしてるんですよ。シンクロニシティやで……。
艦スペってもっとハードコアな「◯◯型」みたいな特定のフネをゴリゴリ掘り下げる特集が通常営業だと思っていたんですが、今回の特集は『演出して魅せる艦船模型ジオラマの世界』というタイトル!
で、みなさん「艦船模型ジオラマ」ってどういうものを想像します?海の上をザブーっとフネが航行しているところだよね普通。フネがフネらしいというか、戦闘するのは海の上だし。ところがどっこい、読んだらめっちゃおもしろい。なにしろ艦船模型は人間みたいにポーズとれないし、戦車みたいに雪や泥で季節や状況を表すのが難しい。じゃあどうするんだ、と。
フネを作って海に乗せて、波をギョイーっと曲がった形に作ると「フネが曲がってる!」というのが一発でわかる。なるほど、フネ自体にポーズがつかなくても、海がフネの動きを教えてくれるんだな……というのが理解できます。波の高さとか飛沫の激しさとかで、速度や天気も伝えることができちゃう。フネにアクションをさせたければ、海をうまく作れないとあかんのやな、と。
私も1回だけ海面を作ったことがあるんですが、けっこう難しい。詳細なやり方を教えてくれないと、マジで予想もしなかった失敗を引き起こすトラップが多数。しかし今回の艦スペは「なるほど〜」って感じのハウトゥも多数掲載されてます。これを全部真似するのではなく、まず透明のものを扱うとか、青く塗った板の上に白い波だけ作ってみるとか、あえて水っぽくない海状のベースを作ってみるとか、なんならフネじゃないものを海に進軍させてみるとか、手芸的な遊びのタネにするとか、いろんなことのヒントになると思います(ハウトゥ記事を読む上で大事なことは、全部をやろうとするとマジで大変なので、やれること、やってみたいことをつまみ食いすることだと思うんだよね。そのうちそれらがくっついて、自分なりの表現になるかもしれないし)。
そしてフネのプラモだけではなく、フネを取り巻く地上設備のプラモもいっぱい紹介されています。大海原をザブザブ移動しているのだけがフネの姿ではなく、整備したり停泊したり小さなボートに押してもらったり……と、いろいろなシーンが作れるだけの周辺アイテムがめっちゃいっぱいあるので、これを組み合わせて置くだけでも絶対楽しい!
さらに、フネの上に置く荷物や小さな人々によって、フネそのものがジオラマの土台になるという例もジャカジャカ登場します。なるほど、フネそのものがスーパーヒーローとしてピン芸人のようにキャラ立ちしているのか、フネが地上の設備とコンビ芸人になっているのか、船の上でグループ芸人がワチャワチャしているのか、それぞれがジオラマだし、それぞれレイヤーの違う表現なんだなー!ということがパラパラーっとめくるだけでも脳にインストールされちゃいます。
ジオラマ、というとすごく難しい、作業が大変……と感じる人もいるかもしれませんが、水を表現したいのか、港とフネの関係を表現したいのか、フネそのものを大地に見立ててそこにドラマを展開するのか、いろいろなアイディアがあって、自分のやれることをそこにフィットさせたらどんな景色が作れるかな?と考えてみると、表現の幅がぐっと広がります。フネをサメに置き換えたら?港にフネじゃないものが来たら?さあ、この艦スペを読んで、プラモのイマジネーションを膨らませてましょう。
みなさんも、ぜひ!
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。