
プラモ買うと嬉しくなって、家で説明書眺めながら酒を飲んで「いや〜いいプラモだなぁ〜」なんつって、酔っ払ってそのまま寝ちゃって、部屋を片付けるときに説明書を箱に戻さない……そして棚に置いてあるプラモをいざ作ろうとすると説明書がどこかに行ったままで、組めない。プラモと酒が好きな人なら経験したことあるんじゃないでしょうかね。
そういうダメな自分のせいで、2度買って2度とも説明書が消失して作れなかったけど、いつか絶対作りたいと思っていたタミヤの超おもしろプラモ、3度目の正直。買って即作れば説明書は消えない。簡単なことです。それにしてもこの箱の絵、めっちゃくちゃワクワクしませんか。小さな箱の中に、2つの妙ちくりんなフネが入っていて、周りになんか小さいのがワラワラと泳いでいます。

板チョコより少し大きくて分厚いパッケージから、ランナー(パーツの付いた枠)が3枚出てきます。コンパクトだけど、中身は盛りだくさん。ハコの裏側を見ればその全容が目に飛び込んできて、居酒屋のおまかせおつまみ5点盛りみたいな、ピリッと味のするこまごまとしたモチーフたち。

1等輸送艦というのは後ろがでろーんとスロープになっていて、そこから甲板に積んだ運貨船(要は上陸するときに荷物を岸まで届けられる小さい船)や甲標的(魚雷を積んだ小さい特殊な潜水艦)を発進させられるフネ。2等輸送艦というのは先端にパカパカ開閉するスロープが付いていて、甲板に積んだ車両がドロドロと発進できるというフネ。どちらもワンダバダバ……という歌が聴こえてきそうな特徴的な奴らです。動く秘密基地みたいで楽しい。



で、どうしてこのプラモが組みたかったのかというと、2等輸送艦の甲板からスロープを下ってウオーっと出撃する戦車が5両も付属しているから!1/700スケールというめちゃくちゃ小さい戦車なんですが、これがめちゃくちゃ特徴を捉えていて、よくできているのよ。

九七式中戦車は4パーツ。特二式内火艇(写真下、ボートにキャタピラがくっついたような戦車)に至っては1パーツでこの完成度!フネからフネみたいな戦車が出てきて海をドドドと航走し、上陸したらフネみたいなフロートをパージして戦車に変形!!考えただけでワクワクします。しかもこの特二式内火艇、プラモとしては長らくこの1等/2等輸送艦に付属するこのパーツでしか存在しなかったんすよ……。


ふたつの輸送艦を組み上げて、小指の先よりも小さい戦車をちょんちょんと配置すれば、そこは南方の島!ビーチに乗り上げ、生ビールと焼きそばをくれ!と叫びたくなります。また酒かよ。っていうか、こうなるともう戦車模型だよねこれ。フネは戦車をそっと陸(おか)に届けてあげる頼れるマンマーレという印象に変貌しちゃいます。

……ということで、でっかい大砲がくっついた軍艦もいいけど、海の上に浮かんだ姿のウォーターラインシリーズではこういう小さくて個性豊かな奴らがいっぱい模型になっています。模型屋さんの艦船模型のコーナーに行ったら、あの薄くて小さなハコをひとつひとつ手にとって、その絵を眺めてください。
ハコに入っているのはグレーのプラスチックだから組んだだけでもフネに見えますし、机の上に置くと船体の下半分が沈み、そこはたちまち大海原(もしくはイケてるビーチ)に変貌します。なかでも陸と海のはざまで不思議に活躍する1等/2等輸送艦は、たくさんのボートや車両を散りばめることでジオラマ的に眺められる稀有な存在。ぜひとも組んでみてほしいのです。
みなさんも、ぜひ。
■タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.501 日本海軍 1等・2等輸送艦