ニッパーを握りたくない日もあるわけですよ人間。それでもなんかこう、小さいものを眺めてうふふとなりたいのがプラモ好きのゼータクなところで、まあそういう気持ちにバチーっと応えてくれる塗装済み完成品というのが世の中にあるんだから嬉しいじゃないですか。こんなに小さい模型なのに、うまいことできてるなぁ……これだって、工場で誰かが塗ってるわけでしょ。すごいや、と。
『2001年宇宙の旅』はもう何度見たかよくわからんのですが、一昨年の夏に大阪のエキスポシティでレーザーIMAX上映がありまして、たまたま出張のタイミングが合ったので巨大すぎるスクリーンと巨大すぎる音響で鑑賞することにしたわけですよ。そしたらなんかもう、全然いままで観ていた2001とは違う体験で、全身筋肉痛になって「うわー、人生変わっちゃったよ」みたいなことを考えましてですね。終わったあと居酒屋で一人ビール飲みながら「うーん、これは結婚しないとダメだな」とかよくわからない結論に至ったんですよ。なんなんだよ、すげえよキューブリック。
EVA PODは最近メビウスモデルから1/8というめちゃくちゃにデカいプラモが発売されましたが、こちらは直径45mmくらい。すげえシャッキリしてますが、腕を畳んだ状態なのがちょっとなぁ〜とか思いつつ、もう一個欲しい。改造したい。あとライトを光らせたいねこれは。最高です。
アリエス号は見た瞬間に青く美しきドナウが脳内で鳴り響きますわよ。記憶する限りマスプロの立体物はなかったと思うので、これが模型になると知ったときは狂喜乱舞しました。脚がビョーンって出てくるあのシーン!そんで花びらみたいなハッチがドワーって開いて、下からのカットにバーンって変わってノズルがビターっと綺麗に並んでるのが見えてくる!そう、この模型の正面は真下だぜ。買った人にしか見えないんだから、こりゃもうアナタも買うしかない。
ムーンバスの中でまずそうなサンドイッチを食べたいと思いますよね。これまた「下ってこうなってんのか〜」という模型。こちらも往年のプラモがあるんですが、手のひらサイズでシャキシャキしているのも凝縮感があってよろしい。
オリオン号は惜しくもパンナムのマークが入ってないんですが、まあオトナの事情がたくさんあるので自力でなんとかしましょう。こちらは全長145mmとちょっと大ぶり。1/400の旅客機とかと並べてそのサイズ感を味わいたいですな。
そんでもってディスカバリー号!こちらも最近メビウスモデルからめちゃくちゃにデカいプラモが発売されまして、これはガバーっと完成させて友達の家に押しかけ、勝手に天井から吊っておきました。このディスカバリー号は全長250mmとコンパクトなので、家が狭いマンでも飾れます。吊ってもいいかな……と思ったんですがこちらは全体が樹脂でできていてけっこうしなりますので、付属の台座で飾るのが吉でしょう。
でも、やっぱビシッと真っ直ぐになって木星に向かうところを見たいじゃないですか。下に月面というのもなんか違うし。こう、漆黒の宇宙にボカーンと浮いているのがディスカバリーじゃん。
いや〜、正直『2001年宇宙の旅』って昔は正規版権を取得したグッズが新規で出せないというなかなかエグいコンテンツだったのですが、ここ数年で状況が変わってきたのかグッズ出まくり、プラモ出まくりの確率変動ハイパーボーナスラッシュという様相を呈しており、フィギュアとかプラモとか全部買っていると破滅しそうです。でもいいの。楽しいから……。
そうそう、HAL9000のプラモがあるんですよ。一人で寂しそうに光っている彼のところに、たくさん仲間が来てよかったね、ということで、こうした完成品の類というのは一度生産されて在庫がなくなるとなかなか再販しない(もしくは二度とお目にかかれない)ことがほとんど。あるうちに買っておく、不安だったら予約する、というのは鉄則ですので、お見逃しのないように。じゃあね!!
■ベルファイン アリエス号&スペースポッド(6800円+税)
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。