
僕の部屋に飾ってある「タミヤ フクイラプトル」は、娘のお気に入り。恐竜がプラモデルになっていることが、彼女には珍しかったみたい。以前、河童のプラモデルを塗ったのにね。でもこうやって、プラスチックという素材がいろんなものに変わることを、直感的に覚えていっているのかも? そんな彼女が、僕の机の上に並ぶたくさんのマーカーを、宝物を見つけたかのような目で見ていました。

「おとうさん、これなに!? ペン? たくさんあってとってもきれい。これってプラモもぬれるの?」
「塗れるよ。早速、恐竜塗ってみる?」
「うん! カッパをぬったときよりもじゅんびがかんたんだね〜。キャップをはずすだけ〜〜」
僕が「自由に塗っていいよ」と言うと、娘は少し身構えました。恐竜を前に、何か考えているみたい。そこで僕はハッとしたのです。以前、娘に「おとうさん、このえほん、おとうさんがじゆうにおもしろおかしくしてよんでよ〜〜」と言われて、戸惑ったことを思い出しました。

「自由に」って、意外と難しい……。何をどうしたらいいのか、あれこれ考えてしまうんですよね。6歳の娘も、恐竜を見ながらそんなふうに考えたのかもしれません。そこで僕は咄嗟に、「好きな色で塗っていいよ」と言い換えました。すると彼女はニコニコして、好きな色をピックアップ。さっそく塗り始めたのです。


「プラモって、ぬりえとちがって“おもて”と“うら”があるから2かいたのしめるね」と言って、反対側はまた違うお気に入りの色で塗り始めました。これこそ自由! 最高! 確かに、立体ならではの魅力です。「好きな色」を選んで塗っているうちに、こんな発想が飛び出してくる。いいな〜〜。
「できたできた。かわいくぬれたぞ」とご満悦。「おとうさんとおにいちゃんみたいなぺらぺらいたがあったから、それもぬったぞ」と、付属の人物プレートも見せてくれました。俺はなぜかメタリックパープルに塗られていました……。
「これ、おかあさんとわたしはいないのかな」と言うので、「今度出るフクイサウルスには、おかあさんと〇〇ちゃんがつくよ」と教えてあげました。
「それつくって、となりにおいてかざろうね!」

娘と嬉しい約束ができました。子供が気軽に作れるプラモと、キャップを外すだけで塗装を楽しめるマーカーがあって、本当に良かった。そして、好きな色を選ぶことが、こんなに楽しい時間につながるんだな〜。「好き」という言葉を、これからも大切にしていきたい。そう思ったプラモタイムだったのでした。おしまい。