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【レビュー】何度でも会いたい、そして何度でも会える金字塔になった俺たちの鉄の巨人。PLAMAX「チェルノ・アルファ」

 映画の公開から時間が経っても、プラモデルが再販され、新しいキットまで発表される。『パシフィック・リム』って、公開当時の一過性のブームではないんですよね。先日の全日本模型ホビーショーで発表されたMODEROIDの新作を見て嬉しかったのは、またイェーガーを作れることはもちろん、あの映画のロボットたちが、今もこうして求められていることでした。

 巨大ロボットと怪獣が、ハリウッド映画のスケールで殴り合う。ロボット好きが夢見ていた光景を、本当に見せてくれた『パシフィック・リム』。公開当時の熱狂が落ち着いたあと、あの興奮も思い出になっていくのかな、と感じたこともありました。以前にPLAMAXの再販があり、さらにMODEROIDへと続いていく。イェーガーたちは、もう「あのとき流行ったロボット」ではなく、何度でも会いたくなる、私たちのヒーローになったのだと思います。

 そんな嬉しさに、にわかに高まったパシフィック・リム熱。「そういえば、うちにも積んである“あのキット”があったはずだ!」と思い立ち、クローゼットの奥で眠っていたPLAMAX「チェルノ・アルファ」の箱を開封してみました。劇中に登場するイェーガーたちはどれも個性的で魅力的ですが、なかでも私の心を一瞬で鷲掴みにしたのが、ロシア製の第1世代機「チェルノ・アルファ」です。スタイリッシュな主役機ジプシー・デンジャーとは対照的な、巨大な原子炉の冷却塔をそのまま頭部に載せたようなシルエット。「人型をした歩く巨大建造物」としか言いようがない無骨な姿が、1/350スケールでプラモデルになっている。「まさかあのチェルノを自分で組み立てられるなんて!」という喜びは、今も変わりません。

 箱を開けると目に飛び込んでくるのは、ディテールがギチギチに詰まったダークグリーンのパーツ群。装甲の表面に刻まれたモールド、太い配管、まるで城壁のようにそびえ立つ重厚な肩。それらを組み上げていくと、ロボットを作っているはずなのに、戦車や潜水艦、あるいは巨大なコンビナートを建設しているような気分になってきます。パーツをひとつ取り付けるたびに、目の前の塊がどんどん強固になっていく。この手応えがたまりません。

 組み上がった機体を手に取ると、その大きさと骨太なフォルムに、思わず顔がほころびます。ちょっとやそっとでは倒れそうにない、この佇まい。実際の模型は大切に扱うとしても、「こいつは頑丈だぞ」と見た目だけで納得させてくれるのが、チェルノのかっこよさです。

 そして、チェルノといえば巨大な拳。キットには伸縮するアームパンチを再現するためのオプションパーツも用意されています。何より、この握りこぶしの頼もしさが最高。そうだよな、

 この拳で怪獣と殴り合いをするんだよな! 武器を持たせなくても、拳を構えるだけで「戦うロボット」になる。その潔さに惚れ惚れしてしまいます。

 もうひとつ嬉しいのが、同梱のLEDユニットによる発光です。部屋の明かりを少し落として光を灯すと、重厚な装甲の間に明かりがともり、目の前のチェルノがぐっと映画の中の姿に近づきます。思い浮かぶのは、雨に煙る香港沖で怪獣を迎え撃つあの光景。自分で組み立てたプラモデルが、映画を観たときの興奮まで連れてきてくれる。この時間は、なかなか贅沢です。

 成型色のままでも十分な存在感がありますが、パーツに刻まれた彫刻を眺めていると、「この無骨な装甲、汚したら絶対にかっこよくなるな……」とニヤリとしてしまいます。装甲の継ぎ目や、びっしりと並んだリベット。スミ入れでそれらを際立たせたり、つや消しで表面の質感を整えたりするだけでも、この鉄の塊らしさを楽しめそうです。さらに錆や雨だれを描き込めば、長年怪獣と戦ってきた老兵の姿にも近づいていく。まずは組んで眺めて、気が向いたら少しずつ手を加える。そんな付き合い方も似合うロボットです。

 ロボット好きの夢が詰まった映画が、時を経て、何度でも立ち返りたくなる一本になる。そのロボットたちが繰り返しプラモデルになり、誰かの机の上に立ち続ける。『パシフィック・リム』は、そんなふうに長く愛される映画になったのだと思います。ハリウッドが生んだロボット映画の金字塔。その言葉に、この無骨な鉄の巨人はよく似合いますね。

SSC

1979年生まれ。サラリーマンの傍ら、模型誌でキャラクターモデルの作例も製作している。模型サークル「PLASTICBOMB」のメンバー

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