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【レビュー】iPhoneでもストロボが焚ける! しかも好きな場所から!/Godox A2でプラモデル撮影は変わるのか?

 スマホでプラモデルの写真を撮るとき、カメラの性能はずいぶん進歩したのに、いまだにどうにもならないことがあります。それは光のコントロール。左から照らしたり後ろから光を回したり天井に反射させて全体を明るくしたりししたければ、それができる定常光……つまり照明器具を用意してセッティングするしかありませんでした。ところが新発売のGodox A2は、iPhoneで本物のストロボ(フラッシュ)を使えるという画期的な製品。スマホでのプラモデル撮影に革命をもたらすのではないか……と思って、さっそく購入してみたわけでございます。

 スマホ用のフラッシュといえば、お世辞にも明るいとは言えないLEDが光るものがほとんどでした。じつはGodoxも8年前にA1というスマホ用ストロボを発売していたのですが、ガイドナンバー8.1と光量はかなり控えめで、デザイン的にも性能的にも満足とは言えないものでした。しかし今回のA2はガイドナンバー約15のキセノンフラッシュを搭載し、その周囲には明るさと色温度を調整できるLEDライトを配置。手のひらサイズなのに、撮影時の光をかなり積極的にコントロールできる、いよいよ実用的なストロボが登場したのであります。

 MagSafeに対応したiPhoneなら背面にマグネットでピタッと装着でき、同じくマグネット式で着脱可能なドーム型ディフューザーも付属しています。これを装着すれば光を拡散して柔らかくすることもできますが、カメラのレンズとストロボを同じ方向に向けて撮影すれば、昔のコンパクトカメラや写ルンですで撮ったような、いかにもフラッシュを焚きました〜という写真になります。最近はそうした写りを「エモい」と表現して積極的に楽しむこともあるようですが、プラモデルをプロのフォトグラファーみたいにカッコよく撮りたいなら、できれば避けたいライティング。

 A2の真価を発揮させるなら、カメラとストロボを切り離して発光させる「オフカメラフラッシュ」という使い方があります。いちばん簡単なのはA2を手に持って上に掲げ、天井に光を反射させる「天井バウンス(略して天バン)」という方法。一眼レフカメラやミラーレスカメラならクリップオンストロボの首をグリグリ動かすことで同じような撮影ができますが、手のひらサイズの丸いストロボを好きな向き、好きな位置に構えてワイヤレスで発光させられるというのは単純に体験として面白い。小さなiPhoneを構えたまま、もう片方の手で光の位置を決められるのだから、カメラより先に照明を動かすという写真撮影の基本がいとも簡単に実現しちゃいます。

 実際に天井バウンスで撮った写真を見ると、室内照明の影響をわずかに受けつつも、スマホで普通に撮影した写真より明らかに光がキレイに回っています。スマホの画面を指でタップして明るさを調整するのとは違い、模型の上面から側面にかけて自然な明暗が生まれ、細部までスッキリと見えています。天井という巨大な反射面を利用するのだから、小さなストロボでも広い範囲を柔らかく照らすことができるのが天バンのいいところ。

 A2には、適正な明るさになるよう発光量を自動でコントロールしてくれる「TTL調光」も用意されています。同じく天井バウンスでPLAMAXのVF-1Dを撮影してみたところ、確かに階調の滑らかな写真が得られた……のですが、写真を拡大してみるといまいちシャープネスに欠けます。全体にわりとノイズが乗っていて、本来はツルッとしているはずの平らな面がザラザラした質感になり、エッジも少々ぼやけた雰囲気。せっかくストロボを使って光をキレイに回しているはずのに、肝心の画像がどうにも眠たい。これはどうしたことでしょう。

 どうやら原因は、A2と連携して使うために必須となる「Godox Camera」という専用アプリにありそうです。このアプリで設定できる最低感度はISO50なのですが、A2は本格的なストロボと比べれば決して大光量ではなく、天井バウンスとなるとフル発光でも少々明るさが足りません。結果として感度を上げて撮影せざるを得ないのですが、もともとセンサーの小さいiPhoneのカメラは、高感度で撮影すればノイズが目立ちやすいという欠点があります。ここで普段のiPhoneの写真がいかにキレイかということを思い出すと、ちょっと不思議な気分になる。
 iPhone標準のカメラアプリは、撮影した画像をそのまま表示しているわけではありません。瞬時に複数の画像を合成したり、ノイズやレンズの収差を補正したりと、複雑なアルゴリズムによる画像処理を施したうえで写真を出力しています。ところがGodox Cameraはストロボとの同調を実現するために独自の撮影機能を備えたアプリで、標準カメラアプリと同じ画像処理が行われているとは限りません。つまりA2というハードウェアによって自由自在なライティングを手に入れた代わりに、普段はiPhoneが密かにやってくれていた画像処理の恩恵を一部失っているのではないか……。これはあくまで撮影結果からの推理なのですが、なんとも皮肉な話ではありませんか。

 もちろん、上の写真のように撮影後の画像からノイズを除去し、シャープネスをかけるなどの補正をすれば、いくらかスッキリした写真になります。スマホの画面で見るぶんにはそこまで大きな差を感じないかもしれないし、SNSに投稿する程度のサイズであれば充分に実用的とも言えましょう。しかし、最新のiPhoneが持つカメラ性能を存分に引き出しているかと問われれば、どうにも釈然としません。光の質が劇的に向上しているだけに、なおさら画像そのものの粗が気になってしまいます。
 そこで今度は黒い背景の前にガンプラを置き、Godox Cameraをマニュアルモードにして感度をISO50に固定。天井バウンスではなく、右奥から左手前に向かってA2の光を直接当ててみます。すると今度はパキッとした、いかにもスタジオで撮ったようなドラマチックなイメージカットになりました。これもわずかに画像補正をしていますが、明るいところは明るく、暗いところは暗い……というメリハリの効いた写真を、スマホと手のひらサイズのストロボだけで撮れてしまうのは素晴らしいことです。先ほどの天井バウンスでは模型全体を見せるために光を回していますが、今度は光の当たる場所を限定することで立体感を強調しています。同じカメラと同じ模型でも、光の扱い方を変えるだけで写真の性格がここまで変わる、ということが伝わればこれ幸い。

 さらにもうひとつ、A2はスレーブ発光に設定したモノブロックストロボ(我が家の場合はGodox MS300V)を光らせるためのトリガとしても使えます。つまりスマホのシャッターに合わせてA2を発光させ、その光を合図に大型ストロボを発光させるという仕組み。圧倒的な大光量を扱えるモノブロックを使った多灯ライティングがスマホでできる!というのは非常にエキサイティングで、これまでカメラや照明の機材を揃えなければ難しかった撮影にも手が届きます。ただ、ここまで本格的な光を使えるようになると、やっぱり写真を大きく表示したときのノイズが気になる……。光のほうはどんどんプロの撮影環境に近づいているのに、画像の仕上がりが追いついてこないというのはかなり惜しい!

 それでもA2の設計と機能は、ストロボという道具の可能性をスマホユーザーに広く開放するものとして非常に優れていると思います。現状ではGodox Cameraに頼らなければ撮影できず、せっかくのライティングを活かしきれないという歯がゆさが残るものの、これは裏を返せばソフトウェアの進歩によって化ける余地があるということでもあります。いままでスマホでプラモデルを撮っていた人が、光を自由に操る楽しさに目覚めるというだけでもA2の登場には大きな意味があるし、みんなで使い倒してカメラアプリ側の進歩を声高に求めていけば、いずれはスマホであることを忘れるような写真が撮れる時代になるのかもしれません。少なくともiPhoneでの撮影に本物のストロボをここまで手軽に導入できるようになったのは、間違いなく喜ばしいこと。あとはこの光を受け止めるカメラがもう少し頑張ってくれれば最高です。より明るい未来に向けて、みなさんもぜひこの波に乗ってください。そんじゃまた!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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