
こういう背景が真っ白に飛んでいる写真、かっちょいいですよね……。カタログ写真っぽくて余計なものが入らないのと、白い画面では境目がなくなってフレームが見えなくなるのも好きです。
さて、以前黒バックでの撮影について、その理論とカンタンな自作ツールによるソリューションを紹介しました。
先日「他に撮影で気になることはありますか」とTwitterでアンケートを取ったところ、やっぱり白背景が気になるという人がチラホラいました。結論から言うと「白バックの撮影は黒バックよりも理論的にはカンタンだけど物理的には難しい!」ということであります。

黒背景は被写体が適切にライティングされていて、背景に光が当たっていなければ(もしくはカメラの方向に反射してくる光がなければ)撮影できます。極論すれば、暗闇のなかで懐中電灯で照らしたところ以外見えない、という状態です。
しかし、白背景だと話は複雑になります。ただ被写体を白いところに置いて被写体を照らすと、背景は被写体よりも遠くにあるので確実に被写体よりも暗くなります(よく見る「白い紙がグレーに見えている写真」がこれです)。なので、後ろに白いものがあって、さらにそれが均一に爆裂明るい状態を作らなければなりません。しかしそのまま撮影すると被写体が黒く潰れてしまいます(逆光写真がシルエットになってしまう)。つまり、被写体を適切に照らして、背景だけをそれ以上の明るさで照らすという「2つの光」を考えなければならないのです。

被写体だけがきれいに見えるようにすると背景がグレーになり(左)、背景だけを明るくすると被写体が暗くなりすぎる(真ん中)。なので、この2つの合せ技(当然お互いの光の位置と量の関係を調整しないとうまくミックスされません)で真っ白な背景が爆誕します。アンブレラとかソフトボックスとかの用具についてはググってください。
ということでストロボ(もしくは我が家のようにモノブロック=電源がコンセントから取れる巨大なやつ)を買おう……と結びたいところですが、ストロボなんか持ってないっす〜という人も多いと思うので、誰でも安価に手に入れることのできるIKEAのデスクライトふたつを組み合わせて白背景の写真を撮ってみることにしました。

背景を頑張って照らしているのが白いライト、被写体をいい感じに照らしているのが手前の銀色のライトです。同じデスクライト、同じ電球(ちなみに電球の色が2つで異なると地獄みたいな写真になるので絶対に色の質は合わせましょう)なので明るさは距離と角度で調整……。

左の一眼レフカメラでの撮影だと、背景を真っ白にするためにはかなりの長時間露光(シャッターを開けている時間がが1秒とか2秒とか)をしなければならず、その上で被写体の明るさを適切にしようとすると手前のデスクライトを1m以上離すといった調整をせねばならず、いろいろと面倒なことになります。あと背景が均一な明るさじゃないことも見て取れますね。
右のスマホ撮影だと比較的キレイに白バック風になってくれました(これは最近のスマホが暗いところを明るく見えるよう画像保存時に勝手に加工してくれるから&撮影時に露出補正を+2〜2.5くらいかけているから)。どっこい、最新のiPhone12 Pro Maxでは背景が真っ白に飛ぶのは絶対に許さん!というプログラムが走っているようで、こちらもあんまりうまくいかない(背景が真っ白の写真は撮れない)……。
てなわけで、白背景の撮影は難しいよ!という話でした。
まとめ
・白背景を撮影したいときは照明が絶対に2つ必要
・背景紙を照らすライトと被写体を照らすライトの位置を調整してみよう
・スマホで撮影したほうが一眼レフよりうまくいく場合がぜんぜんある
・ストロボを買うと強い。2個あればなおさら……。
最近はストロボも安くて使えるやつがどんどん増殖しているので、ぜひともその使い方を説明したいなとは思っているのですが、一眼レフを持っていることが条件になるので、みなさんの声を読みつつこのプラモデル撮影的な話をジワーッと長いこと書いていきたいなと思っております。ではまた。
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