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【レビュー】破壊の美学ここに極まる!「海洋堂ARTPLAキングギドラ」の付属ジオラマに見た、特撮魂。

 8月末に満を持して発売された、令和の昭和キングギドラキット。昨今のゴジラプラモ人気を受けて待望の敵怪獣も立体化の機会が増えてきたのは、私含めゴジラ好きにとってうれしいことだ。

 本キットは、海洋堂ARTPLAシリーズ前作のゴジラ同様、パーツをはめると合わせ目が喪失する巧みなパーツ割と金型設計や、ほぼ逆エッジの成形を実現した鱗、翼膜の血管の浮きまで再現された、一体成形の翼など見どころ満載。

 だが、筆者的にぜひ注目して欲しいのが付属のジオラマベース。劇中で象徴的だった、神社と鳥居、キングギドラの卵があったダムが決壊したことを想像させる濁流、吹っ飛ばされたゴジラが当たって壊れた赤い鉄橋の3つの要素が詰まった、こだわりのベースとなっている。

 ジオラマ自体は、手のひらサイズで意外にもコンパクトにまとまっており、キングギドラの巨大さを強調して魅せる絶妙なサイジングだ。

 キングギドラが初登場した1964年の「三大怪獣地球最大の決戦」劇中では、上記の3つの建造物が同時に映ることはないのだが、あくまでこのキングギドラは「RE:IMAGINATION」。原型を手がけた、松村しのぶ氏の自由な想像と解釈で立体化されたものとなっている。なので、この粋な模型的演出をそのまま楽しむもよし、キットを組む我々も、好きな色で塗ってよし、ジオラマを延長してより特撮気分を味わうのもよしと自由なのだ。

 次に建造物のディテールの緻密さを見ていこう。トンネルの入り口のレンガや、陸橋の割れた床、鳥居にいたる神社の階段など、しっかりモールド。こういった建造物の解像度を上げればあげるほど、キングギドラのスケール感がリアルさを帯びてくる。

 崩壊した鉄橋は、小さいながらも、細やかなパーツ分割により、トラス構造を再現。怪獣の模型を作りはじめたはずが、本格的な建築の模型も楽しめてしまう、お得感が楽しめるのも本キットの魅力だ。トラスフェチの方は、組み上がった陸橋を眺めるだけでも多幸感を味わえるだろう。映画で実際に作られる建造物の模型は、膨大な手間と時間をかけて製作されるにも関わらず、一瞬の破壊シーンで壊されてしまう。職人が作る大輪の打ち上げ花火にも似た儚さがある。

 本キットではそんな美しくも切ない、破壊の瞬間を時間停止したまま立体物として保存できるのも魅力。怪獣のキットを作るだけでなく、特撮の裏側を技術体験し、アーカイブできるところにも、本シリーズの真価があるのかもしれない。

 現在、Xでは海洋堂恒例の「ARTPLAモニターキャンペーン」が進行中で、たくさんのモデラーが作例を製作•公開中。同じ、キングギドラ本体色の金でも、さまざまなアプローチがあることを教えてくれる。これから、この大怪獣に挑む方は、みなさんの作例を参考に、製作の方針を練ってみて欲しい。

Motty

1985年生まれの雑食モデラー。マシーネンを入り口にスケールモデルにどハマり。でかいヘリと輸送機が好き。

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