
トイザらスの店頭でパッケージを見かけた瞬間、脳に電流が走った。ボコボコのブリスター越しに、ケミカルでビビッドなクリアグリーンが光っている。そして何より、パーツ群がカタカナに見えるよう配置され、怪獣の名を示していた。赤茶色のマーブル模様にはだいぶ個体差がある様子。その中でも散らし方が気に入ったものを手に取る。衝動買い。未完成のランナーそのものに魅せられてしまった。カナモデルシリーズの「ヘドラ」は、イントロが極めて鮮烈なプラモデルだ。
この手のプラモデルには「ゴトプラ」という先駆者がいるけれど、この「カナモデル」もランナーのビジュアルに全力投球した稀有なプロダクトだ。料理だって胃の中に入れてハイ終わり~じゃなく、盛り付けも大事でしょ……?とプラモデルが言っている。料理ではないが。

無駄にクネクネしたランナー。へにゃへにゃの「ヘ」。散らされたアメーバ状のパーツは「ド」の濁点にもなっていて、とにかくポップだ。ドポップ。「ラ」はもうちょっと頑張ってほしい。

実物(?)のヘドラは、暗褐色というかどどめ色というかドブの底のような色だけれど、このヘドラはプラスチックを活かした色彩がオシャレだ。清潔感がある。ヘドラなのに。彩度の高いクリアグリーンと赤茶色のマーブルの組み合わせは、グミやキャンディのようでおいしそうまである。やはり料理か?

せっかくの文字をバラすのはもったいない気もするけれど、完成形が気になりすぎるので組み立てていく。説明書は付属無しで、QRコードから読みに行く仕様。台紙の裏にでも印刷してほしかった。パーツに番号は無く、とにかくニッパーでパチパチとパーツを切り離していく。海藻みたいなグネグネが格子梁状になっていて、それがヘドラの輪郭をなんとなく形づくっている。固形ではないヘドラらしさを感じる。

なんだか間の抜けた大変にかわいらしいヘドラが完成した。ちょっと手も動く。しかし、普通にヘドラの立体物を作ろうと思ったら、まずこの造形にはならない。カタカナを模したパーツ群があったからこそ辿り着いた、奇妙なデフォルメ。カナモデルが産んだ、唯一無二のヘドラの形態だったのだ。「再現」とか「リアル」の対岸に棲まう怪獣、いや、怪プラモの完成形はスーパーポップな姿をしている。