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【レビュー】プッシャー式の手触りが『スカイ・クロラ』の虚構を現実に変える/ファインモールド 1:48 散香

 近所にあるプラモデル屋に入ると、とあるプラモデルが目に入った。それはファインモールドの「散香」。『スカイ・クロラ』という作品に出てくる機体「散香」をモチーフにしたプラモデルだ。だいぶ前に発売した記憶はあるけどなぜ売っているんだろう……という疑問より、このプラモデルに出会えた嬉しさ・興奮のほうが上回った(編注/2025年2月に再販されたもの)。

 とりもなおさず、それを手に取り会計をしてもらった。先にも述べたが、散香は『スカイ・クロラ』に出てくる機体。主人公たちが乗る戦闘機のことだ。そして、この散香は特徴的な要素を持っている。動力が機体前方にある牽引式ではなく、機体後方にあるプッシャー式というところだ。今で言えば、『ゴジラ −1.0』に出てきた「震電」と同じような形と言えば伝わりやすいかもしれない。

 その特徴的な要素は読者である自分をすぐさま虜にした。小説の方では機体の説明はあるが、実際の姿を想像することは難しい。それでも、自分は想像するわけだ。一体、どんな形の機体なのか、その機体がどんなふうに空を飛んでいるのか、どんな色をしているのだろうか、と。

 『スカイ・クロラ』にひと通り思いを馳せた後、プラモデルの封を開けた。始めに目に入ったのは、鋭く研いだ広い刃物のような翼。そして、機体後部に取り付け、押し出す力を生み出すためのプロペラ。どちらも、プッシャー式である散香の特徴を象徴している。

 ランナーからパーツを切り出し、手順に沿って貼り付けていくと、細く丸みを帯びたノズル部分はジェットエンジンを備えた機体を想起させるが、広く尖った翼が張り付くことによってその印象を一変させる。そして、合計六枚のブレードを備えたプロペラ。これがプッシャー式である所以だ。このブレードたちが回転することにより、機体が前方へと押し出される。まさに、pusherというわけだ。

 それぞれのパーツが組み合わさっていき、散香が出来上がる。物語の中で駆けていた機体が目の前に出てきたのだ!全体を眺めてみると、シャープさの中になめらかさがあることに気がつき、作中ではわからなかった印象が詳らかになった。「ああ、これが散香なんだ」と自然と嘆息が漏れる。この後に塗装を行うわけだが、そのことを考えるとさらにわくわくする。まるで、虚構を現実へと作り変えるような感じがして。

中央公論新社
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コロ助

1992年生まれ。沖縄出身。生物とアークナイツ、ダイナソーJr.が好き。

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