
ファインモールドは飛行機模型を作るとき、「この機体をプラモデルとして設計したら、どんなことができるだろう?」というところまで追求してきたメーカーです。F-15なら、機体内部のエンジンパーツを柱にして、その周囲に胴体パネルを取り付けていく方式。F-4なら、機首とインテークを合体させて胴体としっかり結合しつつ、その構成のなかで膨大なバリエーションにも対応する方式。それぞれの機体に合わせた組み立て方を考え、キットに落とし込んでいます。

零戦を開発するときは零戦のことを考える……のは当たり前として、では「どう組ませるか」。そこまで突き詰めた結果、胴体は前後に分割され、処理すべき合わせ目が消えました。この零戦には実機の構造を落とし込みつつ、「レシプロの飛行機なら、こういう組み方ができるんじゃないだろうか」という考え方が表れています。

胴体後部がこれ。コクピットの後ろから垂直尾翼まで、どかんと一体成型です。あえて名前を出すなら、ガンプラのHGUC νガンダムではヘルメットが一体成型になりました。これも「νガンダムなら何ができるか」を考えた結果で、それまで処理が必要だった合わせ目が消えました。ファインモールドの零戦にも、それと似た構造の変化を感じます。零戦の場合は、機首の天面を別パネルとし、胴体後部を一体成型とすることで、左右分割なら発生する合わせ目を消しているのです。

ファインモールドは零戦五二型でこの組み立て方を見せ、2020年代にあらためて「零戦のプラモデルの代表」となるようなキットを作り上げました。そのうえで、今度はそれ以前の型である二一型を製作。二一型は先の大戦初期に最も猛威を振るった戦闘機で、空母から飛び立つ白い零戦は空母機動艦隊の象徴となりました。今回のキットは、まさに赤城から真珠湾へと飛び立った第一次攻撃隊の機体です。

二一型と五二型の共通パーツは、ほとんどこのランナーに集約されています。水平尾翼やエンジン、コクピットの床や後部壁面など。逆にいえば、このくらいしか共通化できないほど大きな変更がかかっているという話です。1/72 F-4シリーズのAランナーもそうですが、多数のバリエーションを見越して共通パーツを集約したランナーを眺めると、その機種についてまた新しい発見があります。脚周りは基本同じなんだ……。

逆に、違うところは眺めるほど楽しい部分です。二一型のカウルには機銃の通り道となる溝が切られ、丸みも五二型とは異なります。そして周囲にびっしりと刻まれたへこみモールドと、合わせ目を処理する必要のないきれいな外形。

そして風防は、ガラスと枠が別パーツになった、このスケールではかなり攻めた仕様です。五二型で採用され、二一型でも同じものかと思いきや、前側の風防は新規パーツ。機首のラインが違うので、流用が効かない……!

共通の天蓋部分にも、追加支援がやってきました。クリアーパーツの窓をうまくはめるための治具です。複数のパーツで構成される風防を、きれいに組み上げられるようしっかりサポート。これはひとつあれば五二型でも使えます。

翼にびっしりと並ぶリベットラインも見どころですが、機銃口からちらっと覗く20mm機銃のディテールもちょっとうれしい。

デカールは、赤城から飛び立ったふたりのパイロットの機体を再現。真珠湾攻撃に参加した空母の艦上機は、帯の色や本数で区別されます。赤城所属機を示すのは赤一本。そしてパッケージにも描かれた尾翼の帯は3本で、板谷少佐が飛行隊長であることがわかります。えらい、ということです。ほかにもコクピット内のメーター類が詰まっていて、塗装後に貼り込めば、それはもう一気に「コクピットパネル」といった感じが得られます。

すでに箱の中身、パーツの段階からパワーを感じるファインモールドの零戦二一型。まずはパーツを眺めて、そのポテンシャルを感じていきましょう。五二型のバリエーションとは言わせないレベルの新規パーツを引っ提げて、ついに零戦栄光の時代、二一型の到来であります!! ぜひ皆さんも買ってください。それでは〜。