
F-14トムキャットは人気のジェット戦闘機です。可変翼という現在ではあまり顧みられないテクノロジー、翼を開いても閉じても画になる洗練されたふたつのスタイル、艦載機という性質から生まれる離発着のシーン、専用に開発された長距離ミサイルなど、あらゆる切り口でその良さを見いだせるフックがあります。映画『トップガン』のもうひとつの主役とも言えるほどで、誰もが認めるアイドルのような存在です。開発した米国では2006年に全機が退役しています。

現在でもF-14人気は変わらず、国内メーカーではファインモールドが1/72 F-14Bを2024年に、タミヤが1/72 F-14Dを2026年に発売しています。近年のプラモデルの凄さもあって、あらためて実機について知りたい、という欲求が出てくるのも自然な流れ。そこにスッと寄り添った……いや、情報のフルコースをぶっこんでくるのがモデルアートという会社です。以前発売していた『モデルアートプロフィール F-14』をさらに強化し、おいしいデカールまでぶっこんだ一冊を投入してきたのです。

F-14は人気であるがゆえに、資料本も充実しています。実機の歴史や、退役までにどのような仕事をしていたのか、有名なリビア近海でのMiG-23撃墜や、イラク上空でのパトロールなど、運用面にまで迫ったもの。実機の細部写真を大量に並べて、そのひとつひとつのディテールをつぶさに観察するもの。そして膨大な数のプラモデルをまとめたもの……と、ガチ勢は各方面の書籍を集めるわけです。で、この本はそれぞれの方面を足して、あんまり割らない原液濃いめ仕様。

F-14にはA、B、Dの3種類のタイプがだいたいありまして、というところまではすぐ出てくるのですが、生産時期の違いでさらに差があります、というのがこうやっていきなり出てきます。つよい。

実機写真も充実しています。……NACAダクトのなかまで覗いてるんですが、こりゃすごい。機首からしっぽまで、このレベルでしっかり覗いています。ガチで。

インテークの可変ランプがどう動くか、という解説もありますよ。キットではアクチュエーターまでパーツ化されているので、F-14の模型を知ってると「なるほどね~」と読める部分。

これ、とってもうれしいのが、武装パターンを実機の写真込みでしっかり解説してくれるところ! 実物がこういう状態なんで、あなたも安心してこういう吊るし方をしましょう、というのが迷いなくできるんです。だって実際の写真がこうなってるんだもん、と言えるこの安心感。

そして最近のF-14キットの紹介も。グレートウォールホビーも近年F-14を熱心に発売しています。翼のスポイラーが立てられるの、ちょっと欲しいな~……。こんな感じで、各社のキットの特徴もよくわかります。ほかにも作例があって、そのメーカーのキットを攻略するのに役立つ部分も。

そしてなんといっても付属のデカール! カルトグラフ社製でなんとも鮮やか、そして透けない素晴らしい品質のもの。1/72用と1/48用がそれぞれあって、作るキットに合わせて使えます。

塗装図にも模型らしい文章が。「黒の代わりに『黒に近いダークグレイ』を使うと、落ち着いた雰囲気に仕上げ易くなります」。グレー系でまとまってると、黒が逆に目立つんですよね。逆に、ドクロマークのジョリーロジャースとかは、あえて黒バキバキで行ったりするとカッコよかったり。

付属のデカールも使えるし、またF-14が作りたくなってきたぞ……! ちなみにデカールは袋の端にナイフを入れて開けると、本へのダメージが小さくて良いですぞ。F-14を作るために、モデルアートが全力で集めてきた情報、そしてデカール。ぜひ皆さんもゲットしてください!