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「エアブラシ塗装の偉大なる一歩」を後押ししてくれる高コスパミニコンプレッサー、PROFIXのNITRO-BOYを正直レビュー!

 RAYWOODの製品を手にして毎度いいなと思うのは、そのデザインとパッケージングだ。せっかくお金を払って手に入れる模型ツールだから、「使えればOK」「しっかり機能すればOK」だけじゃなくて、良いものを手にした感触とか、模型ライフがひとつ豊かになった雰囲気も演出するのが世界的なトレンド。この新しい小型コンプレッサーとハンドピースのセットも、マグネットが内蔵された紙製の貼り箱に緩衝材をビシッと入れ、整然と構成要素が並んでいるのに驚かされる。正直、エアブラシをパッケージに戻すことなんてほとんど考えられないのにも関わらず、だ。

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 はがきサイズよりさらに小さいコンプレッサーと、ハンドピースのセット。もちろんエアブラシ用のコンプレッサーというのは大きければ大きいほど出力に余裕があり、できることも増える。しかし模型用のコンプレッサーとなれば置き場所や駆動音の大小だって重要なスペックの一部となる。ミニコンプレッサーというのはかつてより「エアブラシを使うための最低限の機能を省スペース&ローコストで提供する」という役割を担ってきた。そして何より、本アイテムは色と質感がソリッドでシンプルなデザインが魅力的だと思う。

 コンプレッサーを持ち上げると、底面には振動と騒音を抑制するための軟質素材でできた脚。側面にはハンドピースへと空気を送り出すための接続口がふたつ。2系統の同時使用はもちろん不可能だが、例えば金属色とソリッドカラーでふたつのハンドピースを使い分けたい……というユーザーはそれぞれの接続口にホースを繋いで排他的に使用できる。また、スパイラルホースでもストレートタイプの軟質ウレタンでもなく、ブレイドホース(繊維を編み込んでホースを包みこんだもの)が付属するのが個人的にはめちゃくちゃ嬉しいポイント。

 メインスイッチはダイヤル式で、ぐるっと回せばリニアに吐出量を変更できる。設計定格出力は約0.08MPaで、内圧を感知してモーターを自動でオン/オフする機能が付いているため、ハンドピースを使っているときだけモーターが作動し、塗装を中断している間は停止する。騒音低減や節電には非常に効果的だが、その構造上立ち上がりにはわずかにラグがあるので要注意だ。

 付属のハンドピースはPROFIXブランドの最上位機種、Tech Linerである。空気の流量と塗料の吐出量をそれぞれ独立してコントロールできるダブルアクションタイプで、エアフローバルブが搭載されているためレギュレーターを使わなくても空気の流量を繊細にコントロールできる。安価ゆえに質感はそれなりだが、ダブルアクションエアブラシの仕組みを理解してコントロールに習熟するには必要充分な性能を備えている。

 ノズル径は初期状態で0.3mmのものがセットされており、ベタ塗りからボケのある塗り分けまで広く対応できるレンジだ。このハンドピースは0.2〜0.5mm径まで対応しており、ニードルとヘッドアッセンブリ(ノズル周りの先端ユニットをまるごと調整して組み合わせたユニット)を入れ替える別売りのセットで口径を選択可能にしている。とは言え0.5mm径のハンドピースでガバっと大面積を均一に塗るにはある程度コンプレッサーの出力が求められるので、本機では0.2〜0.3mm径での使用が適しているはずだ。

 普段使っているコンプレッサー(同じくRAYWOODのNITRO COMP V1)で吹くのと同じ濃度に希釈した塗料をテスト吹きしたところ、(ハンドピースの精度もあるのかもしれないが)吹き始めに僅かなもたつきがあり、線にも脈動が感じられた。ニードルアジャスターやエアの開度もさまざまに調整したが、立ち上がりの不安定さは最後まで払拭できなかったため、細い線や繊細な塗り分けをコントロールするのは難しい。ミストを細かくしてコントローラブルにしたければ、(色乗りは悪くなるし塗料の流動性が上がって塗膜のコントロールは慎重さを求められるが)塗料を思ったよりも薄めにすることを心がけるべきだろう。

 適切な濃度に希釈したサーフェイサー(グレーの下地塗料)を可能な限り高い圧力で吹き付けたところ、ベタ塗りではまったく問題ないことがわかった。線質やキワの滑らかさとは無関係な「パーツごと均質に丸吹きする」という用途ならことさら気を使わなくてもとくに問題ないだろう(そしてエアブラシの需要において、じつはこの性能こそが最も重んじられていることは間違いない)。

 粒子が大きいメタリック系塗料をやや濃い目で吹き付けると、あっという間にノズルが詰まった。かなりシャバシャバに薄めれば吹き付けることはできるが、何層も吹き重ねてムラなく均一に発色させるにはかなりの根気とテクニックが必要になる。同時に、メタリック系塗料はあまり希釈しすぎると光輝感が失われるため、もとより流動性が高い(=粒子が細かい)塗料を選んでギリギリの濃さで吹くのが良いだろう。

 ツヤありの塗料は(とくに現在の高性能な模型用塗料の場合はなおさら)濃いめの塗料を高圧で吹き付けても塗料が凸凹の面を持ったまま乾燥するより濡れた層が均一に広がろうとする力が上回り、テロっとした光沢を出しやすい。しかし本機の場合はたっぷりとした圧力が取れないため、広範囲に濡れた面をキープしながら均一に発色させるのは少々むずかしいと感じた。もちろん薄めに希釈した塗料をじっくりと吹き重ねるのには問題ないのだが、例えばツヤ出しは缶スプレーによるトップコートに任せるのもひとつの手だろう。

 NITRO-BOYに搭載された圧縮機はおそらく充電式の一体型エアブラシシステムとほとんど変わらない規模のものだと思われる。とは言え、AC電源で電池残量を気にせず使えること、ホースを介してハンドピースを自由に取り回せることは大きなアドバンテージだ。ガンプラをユニット単位で塗装するなど、ある程度小さい対象物にツヤ消しの塗料をベタ塗りするなら全く問題ない性能を発揮してくれる。1/35の戦車や1/48の戦闘機のシンプルな迷彩パターンを塗るのも問題ないだろう。

 反面、カーモデルなどで艶有りのボディを作ろうとすると濡れた面を広く作り続ける必要があり、手早くキレイに塗るならもう少しパワーがほしい。とは言え、この圧倒的な小ささと静粛性でエアブラシ塗装の基礎を味わえるのであれば本機のコストパフォーマンスは高い。大事なのは、「筆塗りではどうしてもできないこと」ができるようになることであり、それができて初めて「もっと繊細に!」「もっとラクに!」「もっと美しく!」という欲求が湧いてくるもの。その受け皿となるハイスペックモデルもラインナップしているRAYWOODであるからこそ、このNITRO BOYが持つ意味は大きいと感じるのだ。

■ PROFIX NITRO-BOY ニトロボーイ ミニコンプレッサー
https://raywood.jp/products/r-profix-nitroboy

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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