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新世代の塗装ブースは大風量とシックなデザインが勝利の鍵!/ニトロブースは「プロペラファンの逆襲」だ

 結論から言いますと、だいぶ良いです。エアブラシやコンプレッサー、工具など模型製作に必要なアイテムを精力的に送り出しているRAYWOODから新しく「NITRO-BOOTH(ニトロブース)」という塗装ブースが発売されました。まず自分で組み立てるタイプなので梱包が結構コンパクトでビックリ。そして開梱するといちばん最初に大直径のダクト、そしてファンの入ったユニットとご対面です。

PROFIX NITRO-BOOTH ニトロブース 卓上塗装ブース(予約商品:12月上旬発送予定)

 自分で組み立てながら写真を撮るとめちゃくちゃ大変なので、工具大好きモデラーのけんたろうくんを召喚し、妖精のように組んでもらいます。なんで塗装ブースのパーツを持った状態でふとカメラを向けるだけでそんなにいい笑顔が出るんだ、けんたろう。

 まず塗装ブースのコアであるファン(送風機)には軸流式と遠心式があります。軸流式というのはつまりプロペラファンで空気を送り出し、遠心式はシロッコファンという円筒形に並んだ翼の集合体で空気を送り出します。プロモデラーのデファクトスタンダードとして知られる「ネロブース」はシロッコファンを、このニトロブースはプロペラファンを使用しています。軸流式と遠心式にはお互いに(専門的な話をし始めるとすごく長い論文が書けるくらい)メリット/デメリットがあるのですが、趣味に使う塗装ブースにおけるいちばん重要なファクターはサイズ、騒音、メンテナンス性の3つだという前提で話を進めます。

 組み立ては手で締め付けるタイプのネジで各パーツを結合していくだけ。トップに来るプロペラユニットは組み立て済みで、中央部にブラシレスモーターが入っています。ブラシレスモーターは省スペースでパワーが確保でき、部品が摩耗しづらく回転速度の安定性や制御性に優れています。もともとプロペラファンというのは比較的安価で大風量が得られるものなのですが、塗装ブースとして使うには部屋の内外の気圧差に対して少々弱く、また騒音も大きめになってしまうという弱点がありました。
 しかし、ニトロブースはブラシレスモーターを採用し、さらにプロペラブレードの枚数や形状を見直すこと(さらに使用するシーンによって回転数を無段階で調整できるようにすること)で風量を犠牲にすることなく静音性の向上を狙ったと宣伝しています。

 そしてニトロブースは内部で負圧を生み出すドラフトチャンバー方式なのですが、チャンバーを形作る整流板をかなり立った角度にすることでワークスペースを拡大し、さらに整流板の上下にある隙間にスポンジフィルターをみっちり詰め込むことで塗料のミストをキャッチするという特徴を持っています。ちなみに下写真は梱包材と間違えてゴミ袋に捨てた黒いものがスポンジフィルターだったヨ、のけんたろうです。白いのが梱包材だ。いいね?

 スポンジフィルターを導風板の上下にぎゅっと押し込み組み立て完了。スポンジフィルターを入れないほうが大風量を得られることは想像に難くないのですが、塗料の粉がプロペラファンに付着しまくることを考えるとこれはメンテナンス回数とのトレードオフということで皆さんの使用頻度やどれくらい濃い塗料をどれくらいの量吹き付けるか(エアブラシで薄く吹くのか缶スプレーをゴンゴン吹くのか)の違いによって運用が変わってくるところです。

 電源スイッチを兼ねるダイヤルをひねり倒すと徐々に上がっていく回転数。直径200mmのプロペラが最大パワーで回転すると「ゴー」という風の音はそれなりに大きく、さらに「キーン」というシロッコファン方式では聞かれない高周波ノイズが混ざります。音の快/不快というのはわりと人によるものだとは思いますが、公称風量800㎥/hを超えるというマックスパワーでもべつに隣の人とは会話できますし、住宅密集地で窓を開けたら隣家の壁……みたいな状況でない限り近所迷惑になるような音量でもありません。どうしても音量を絞りたい……という人はダイヤルで回転数を下げれば静かになりますが、当然ながら空気を吸い出す性能はそのぶん落ちますので要注意。

 ワタクシ的にいいなと思ったのはツヤ消し黒のダクトが付属すること。見た目にシックでいかにも「工業用のダクトです!」という主張がないこと、さらに直径がデカいので大径のファンが生み出す性能が減衰しにくいところもGOODです。窓とサッシのあいだにダクトを挟んで外に導いてもいいですし、虫や雨風を防ぎたい人はプラダンや板材に穴を開けたダクトパネルを窓サッシに挟んでもいいでしょう。何にせよこれだけの排気量があると家の中は一瞬で外気温と同じになりますので、暑い寒いはしょうがない。

 サイズは幅450mmのものと550mmのものが展開されていますが、今回試したのは450mmサイズのもの。標準的な大きさのプラモデルならだいたいのものが塗装できますし、このなかでヤスリがけなどをしても集塵機としてきっちり機能してくれます。
  付属のLEDライトはマグネット式で筐体内部にぺたんと貼り付けて使うのですが、こちらはハッキリ言って演色性も照度もイマイチなので「おまけ」と割り切ったほうが良さそう。なにより本体の電源ケーブルともどもコードがめっちゃ短いのでスイッチのON/OFFや配線の取り回しが悪いのが玉に瑕。ご自宅のコンセントや電源タップの位置を確認し、ちょっと長めのメガネケーブルと演色性と輝度の高いバーライトを追加購入することを強くオススメします。

 事前情報を読む限り「そうは言ってもシロッコファンのほうが高性能なんじゃないか」「プロペラファンってめちゃくちゃうるさいんじゃないか」と訝しんでいたのですが、高回転時のカン高いノイズにさえ目をつぶればデメリットはそこまで大きいものではなく、ホビーユースにおける塗装ブースとしての実力は間違いなく高級機と言えるものになっています。
 なにより黒い筐体がカッコいいので、すでに他社製塗装ブースを使用しているけんたろうくんやフミテシも試運転の様子を見ながら「え、これいいな……買うか……」と目が輝いていたことを付け加えておきます。模型用としていちから開発され、量産に至ったニトロブース。安かろう悪かろうではなく、設計から必要な部材に至るまでじゅうぶんに練り込まれた名機です。みなさんも、ぜひ!

PROFIX NITRO-BOOTH ニトロブース 卓上塗装ブース(予約商品:12月上旬発送予定)

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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