
改めて、異様なプラモデルである。下の写真のパーツの幅は差し渡し5cmほどしかない。指先で摘める程度の小さな小片に、肉眼では見えないほどの彫刻がギッチリと入っている。誇張でもなんでもなく、マクロレンズで撮影した写真をモニタで拡大表示してようやく見えるカタチが金型から樹脂に写し取られているのだ。何はともあれ、その凝縮感をその目で見るために買っていいと断言してしまおう。

バンダイスピリッツのビークルモデルシリーズは、パーツ数が少ないコレクションサイズのスター・ウォーズメカを手軽に楽しめる。しかし、この造形に至るまでに多くの人が込めた執念とも言えるこだわりがどれほどのものか、おそらくスター・ウォーズがどのようにして撮影されたのかを知らない人にも伝わるはずだ。私は9年ぶりにこのアイテムと対峙して、初めて見たときと同じようにたじろいだ。眼前にあるプラモデルに対して「そこに存在することが信じられない」と思わせるだけのディテールは半端ではない。


さっと組み立て、光にかざしてシャッターを押すだけで、そこがSW世界に書き換わる。自分がルークや帝国軍のパイロットになる体験というよりも、これは世界でいちばん気軽な「ジョージ・ルーカスごっこ」である。壁に黒い紙を貼って、ひとつの光源を設定してくるくると回す。シンプルなシルエットだからこそ、どこが光り、どこに影が落ち、劇中で見たタイ・ファイターらしくなるかを飽くことなく眺め続けられる。塗装なんてしなくても、シールすら貼らなくても、闇の中にくっきりと浮かび上がるディテールの洪水が、遠い昔、はるか彼方の銀河系へと僕らを連れ去ってくれる。

恐ろしいことに、先日発売された「ビークルモデル トレンチランセット」にはこのタイ・ファイターが2機とベイダー卿の乗るタイ・アドバンストx1、そしてルークの駆るXウイングがセットされている。デス・スターの表面で繰り広げられた手に汗握るチェイスシーンを机上で追体験できるのはもちろん、一般的なプラモデル用金型加工技術の限界を超えたディテールを何度も味わえるのが醍醐味だ。価格と内容を考えると、おそらくこんな商品は後にも先にもないだろう。グローグーの可愛さでスター・ウォーズの世界にのめりこんだアナタにも心の底からオススメしたい、空前絶後の超お値打ちプラモデルなのである。