
ティラノサウルスは命名当初から「特別」な恐竜でした。ティラノサウルスをモチーフとしたポケモンが「発見」されたのはシリーズが始まって20年近く経ってからのことですが、それだけの期間を経た甲斐あってかデザイナー(ありがひとし氏)のティラノサウルス愛あふれるデザインとなっています。

年度末の修羅場が少し落ち着き、1年ちょっとぶりに趣味でプラモデルを組めました。去年の秋から楽しみにしていたポケプラのガチゴラスとプテラです。パッケージには、春休みいっぱいで国内巡回を終えて海外へと旅立つ「ポケモン化石博物館」のロゴが踊っています。
キットの造形がポケモン化石博物館で発表されたガチゴラスとプテラの「骨格想像図」をたたき台にしたことは火を見るより明らか。というか(設計データが間に合わなかったと思しき初報では)バンダイの公式サイトには「骨格イメージ」としてポケモン化石博物館の骨格想像図がそのまま載っていたりもしました。「それ描いたの俺だもん」と嬉しくなった筆者はとりあえず2個ずつ買いました。

キットはタッチゲート(と言うまでもなく多色成型、スナップフィット)式になっており、骨格を組んでから「ガワ」を組み付けるというコンセプトはプラノサウルスシリーズを彷彿とさせます。というより、骨格の分割から何までキットの基本設計はプラノサウルスそのものです。

骨格部分の生っぽさは、ポケモンの「絵柄」に合わせたためかプラノサウルスシリーズよりも控えめ。それでも「ポケモン化石博物館」の名残でか、妙な作り込みの細かさが見え隠れします。筆者くらいになるとガチゴラスの腰帯(骨盤)を肴にビールを3缶いけます(うそ30%)。

プテラはシリーズ初期のポケモンらしいシンプルなデザインで、「骨格ビルド」に色濃く残る翼竜の骨格特有のつくりとの対比が際立ちます。ノタリウム(左手前の「12」のパーツの前半部;胸部から腹部にかけての背骨が一体化した、鳥類や翼竜に見られる構造)のひどく生々しい造形でやはり酒が進みます。

はしゃぎすぎてガチゴラスの叉骨(A18)を失くしかけたり、プテラのノタリウムを眺めて変な笑いを浮かべたりしているうちに「骨格ビルド」の完成です。このまま眺めていたい気持ちがめちゃくちゃにありますが、しかしフリーランスになる前に新潟や金沢のマンションの一室で「骨格想像図」を描いていたころの気分で「ポケモンビルド」を眺めてやりたい気持ちもあります。人類全部が「骨格ビルド」と「ポケモンビルド」を一度に並べることはできないんだ。

というわけでもう1個キットを組みます。ポケモンという「実在するキャラクター」の色再現のため、外装はプラノサウルスよりも立体パズル感が強くなっています。パーツ分割の追い付いていない部分はしっかりシールでフォローされていますが、それはそれとして目以外は塗装することにしました。


そんなこんなで「ポケモンビルド」はぺたぺたと部分塗装のち、ウェザリングカラーのシェードブルーでフィルタリングしてみます。骨格ビルドは「プラノサウルス復元プロジェクト」のノリで塗り倒し、「カセキポケモンの復元骨格(実物)」っぽくなったら完成です。プテラはガチゴラスとは異なる地層から産出したものということにして(同じ地層から大型恐竜と大型翼竜の保存状態のよい骨格が産出することはまずありえません)、異なった色合いにしてみました。
日本古生物学会でも有数のポケモントレーナーとして知られたアイバ博士(本人も奥様も異常な文才をもつ)からモンスターボールを投擲されてはや7年、カセキポケモンたちはフリーランスとして藪の中に漕ぎ出した筆者をずいぶん助けてくれました。顔も知らないデザイナーが元のデザインに込めた意図を1枚のイラスト越しに探るという経験は、筆者の大きな財産になっています。そうして完成した「骨格想像図」は立体化も何もまったく想定していないものでしたが、今こうして顔も知らない誰かたちがひとつのプラモデルとして仕立て直し、世に送り出してくれたことをとても嬉しく思っています。
給与生活にさよならバイバイして丸5年。この先うまくいく保証はどこにもありませんが、それでもこいつたちがいます。次のお仕事、ゲットだぜ!!