
グッドスマイルカンパニーの名作フィギュアをプラモデルにしちゃうんだぜ……というコンセプトで展開されるReincarnationの第三弾、『艦これ』の島風でございます。五連装魚雷発射管を搭載した高速駆逐艦は「同型艦がいないレア艦娘」として普通に戦力としてヤバく、さらにセーラー服でシマシマニーソで紐パンでバニー耳というてんこ盛りすぎるビジュアルによって絶大な人気を誇りました。
モチーフとなった塗装済み完成品フィギュアは2014年発売(干支が一周しているッ!)。振り向きポーズの島風はもちろんですが、連装砲ちゃんのボリュームもだいぶイカツく、プラモデルのボリュームとしては島風本体と連装砲ちゃんたちが同じくらい。そしてそれぞれの意匠をどのようにプラモデル化しているのかというところが今回のプラモデルの焦点になります。

プラスチックパーツは全部で7色。部分的に彩色が施されており、いわゆる「組むだけでもイメージ通りの仕上がりになります」というタイプのプラモデルですが、いやそもそもシマシマニーソをどうするんだという問題があります。というかこのプラモデルはそこにハイライトがあると言っても過言ではない……。

みなさんも薄々感づいていたとは思いますが、こういうことです。左右に割った白い脊椎のようなパーツに赤いシマシマをひとつずつはめ込んでいく。色を塗らないのであればこうするしかないとは言え、実際に見せられると「いやこれマジでやっちゃうのかよ」「合わせ目とかどうなんですか実際のところ」みたいな感想が湧き上がってまいります。

しかし組んでみるとこれが非常にキレイに収まるのです。全部のパーツに違う形状のダボが設定されていて、パーツをパチパチ切ってガシガシはめ込んでいくとほぼ自動的にシマシマが形成される。そして白いパーツでは断続的であった太もも〜スネの微妙なアウトラインが赤いパーツを象嵌することにより滑らかにつながる様子は組んでいてかなり興奮します。

こうした肉体の有機的な曲面と対極的な表情を見せるのが連装砲ちゃんと五連装魚雷発射管です。こちらは実艦に搭載された装備をデフォルメしたものとはいえ、ある程度硬質なメカとしての存在感を持っています。胴体は円筒形ですが、頭部(なのか?)は全方位にディテールの入った箱状のユニットなのでかなりのパーツ数を費やすことになります。

これまた執拗だなと感じさせるのが連装砲ちゃんの顔はプリント済み、スクリューや手旗も塗装済みになっているところです。全体を注意深く見渡すと、組み立ての手数(あるいは金型の数)と細部の色表現のバランスをどのように取るのか細心の注意が払われていることがわかります。

なんとなーく認識していた三段重ねの連装砲ちゃんたちは透明のアームや各ユニットから生えている棒によってお互いに接続され、ひとつのタワーのように組み上がります。……っていうか連装砲ちゃんがえっちらおっちら魚雷発射管を運んできているとシーンにすることで、見返り姿の島風の後ろ姿が大きな魚雷発射管(背中に装備される)で隠れてしまうのを避ける……というイラストだったんだなこれ。


組むとわかる、というのは島風本体においてもそうであり、とにかくデザインに隙がない。お腹を見せたいしお尻の予感を醸し出したいし、でも身体のラインはスリムであってほしいし顔はこっち向いててほしいし……という要求を同時にクリアするためにどんな立体的なマジックがあるのか、組めば組むほど元イラストの頭脳プレイとそれを再現したフィギュアの手技に恐れ入ります。

島風といえば……の紐パンは胴体と脚にサンドイッチされる絶妙な設計でワンパーツになっており、紐部が宙に浮いた(というか左右の手で引っ張っているんですけど)造形も鮮やか。スカートで隠れる部分、お尻側の処理などは組んだ人だけが知っているプラモデル的な秘密に満ちています。

組んでいて「おおっ!」と思ったのはトルソ状態から左右の腕を取り付ける段階。きちんと左右の手の中指と薬指を紐にかけるようにして上腕に袖(なのか!?)を嵌め込むと、それぞれが3次元的に正しい位置に収まる。いやそうなるように設計してるんだからそれはそうでしょう……とわかっていても、まるで空中ブランコで二人がバシッと手を取り合って技を決めたときのような爽快感があります。

完成してみればスリムな島風にメカニカルなディテールとコミカルな表情の連装砲ちゃんが寄り添い、かなりボリュームのある景色が広がります。各部の質感はさすがにプラスチックモデルなりのツヤだったり、合わせ目が気になるところも散見されます。しかしこうして写真に撮ればしっかりと「あの島風のフィギュアだ!」と感じられるのですから大したもの。でもね……。

改めて2014年の塗装済み完成品フィギュアの写真を眺めてみると、当然ながらシマシマニーソは塗装表現だし、肌にはシャドウが吹いてあったり連装砲は濃淡のグレーが使い分けられていたり砲口がブラックアウトされていたりと、細かい技が光りまくっているんですよね。プラモデルで再現されているのはキャラクターの基本的な造形とカラーリング……と考えると、ここからさらに手を加えてブラッシュアップできるところは無数にあります。かつての名作フィギュアが目指した高みを思い起こしながらこのプラモデルを磨き上げるのも楽しみな、奥行きの深い一作と言えるでしょう。みなさんも、ぜひ!