「説明書に機械部品の解説が少しだけでもあれば、バイク模型としての至高性がさらに高まるんだけどなー」と思いながらその緻密なエンジンパーツと向き合ったのがアオシマのHonda CB400FOUR(通称:ヨンフォア) ’76 カスタムだ。むき出しのエンジンこそがバイクの主格であり、バイク模型においてもその表現にはメーカーの技術や矜持が込められる。サイズ的に様々なディテールが省略されがちな1/12スケールでありながら、エンジン~変速機までの機械構造がとことんパーツ化されていた。完成したら見えなくなる部位においても、緻密さを追求する姿勢には脱帽である。バイクへの、機械への愛を存分に感じられるが故に、説明書にパーツ解説が加わるだけでエデュケーションとしての極みも得られるのに!
プラモデルが文化教材としてのポテンシャルを発揮しているのを見ると、なぜか嬉しくなってしまう自分がいる。プラモがより多くのひとの喜びになってほしいので。YouTubeやAIを活用すれば、ヨンフォアのエンジンの部品構成、オーバーホール手順などいくらでも把握できる今でもあるので、メーカーが実機の再現をとことん追求したかは存分に伝わってきた。なので、説明書にその機械の役割とか解説があるとさらに良いのにな、と感じたのだ。

しかし説明書の初手が「ヘッドカバーにタペット調整キャップを貼ってください(×8)」とあってさすがに目をひんむいた。最初、なにをやらされているのか解らなかった。あえて別体としたホンモノ性。だからこそ説明書に解説があれば、より奥行きのある体験ができたのではないかと思う。
金属ピンも最初「ナンジャコリャ」だったのだが、実機も冷却フィンの合間からシリンダーブロックを締結するスタットボルトを視認することができ、そのキャラクター性を再現していたのだ。しかし当時のHondaはスタットボルトすら直接、空冷したかったのか。空冷原理主義のさすがの本田宗一郎イズム。

エンジンのパーツ構成がド硬派&ハイカロリーではあるのだが、箱をあけるとまず彩り豊かで嬉しくなるキットではある。旧車といえばのメッキパーツと合わせて色付きクリアパーツがナイス過ぎる。無塗装であってもしっかりヨンフォアが成ってくれると直感できた。

タイヤのゴムが薄めで整形されているのだろうか? 他のバイク模型よりも柔らかく感じるし、ホイールにはめてるとフニフ二でエアボリュームを有している。それでいてタイヤパターンやサイドウォールの刻印がシャッキリ、クッキリで凄いと唸った。

赤と黒のプラ成形色がジャストでしかないので、タンクとサイドカバーにデカールを貼ってプレミアムトップコート[光沢]を吹けば充分と思えたし、排気の集合管はトップコートの[つや消し]を吹いたらバッチリだった。ヨシムラロゴのリアルさが爆発している。ヨンフォアことCB400FOURは国内向け、輸出仕様、排気量が初期408cc、後期398ccと仕様の多い車種であり、このキットは「免許制度改正後(1976年)の国内モデルの398cc」となる。タンデムステップの位置、リアコンビネーションランプなどが忠実に再現されている。

プラ成形色やデカールなどに合わせて「無塗装でいいじゃん」と思わせてくれたのがこのホイルシール。シートの鋲や金具の表現といて貼っていくと完全に合皮レザーシートに。プラスチックだったものが、金属色のシールのせいでレザーに見えてくるマジック……!

2015年に「ヨンフォアのアオシマ新規金型」と世に放たれた『1/12 ホンダ CB400FOUR ’74 アオシマ』(ザ☆バイク No.03)。その系譜の最新キットはアップハンドルや集合管といったカスタムパーツが盛り込まれ、半世紀前の二輪熱狂の時代性をより色濃く帯びた内容となっている。組みきると無塗装であってもその情報量に圧倒されるのと合わせて、自己肯定が爆発した。完成後もシート下の工具ボックスを外してエアクリーナーにアクセスできたりと、実車感をとことん追求したヨンフォアへの熱意溢れる渾身のキットであった。あとは説明書に機械の解説さえ入ったら完璧なのに……。

正直、無塗装で組んでいっても工程がぜんぜん進んでいかない、歯ごたえたっぷりなキットではある。調子の良い接着剤とピンセットは必須だ。そうであっても、YouTubeでヨンフォアのレストア動画を流しながらこのキットと向き合うことは大変良い時間であったといえる。キットの熱意に当てられてか、すっかり実車のヨンフォアが欲しくなっている。自分の誕生年月の個体がありそうなんだよなー。