
1/350スケールのコトブキヤDHVマゼラン。「DEATH STRANDING」や数々のキャラクターモデルを手掛けているコトブキヤということもあり、ノンスケールとなっていても違和感はありません。しかし、そこであえて艦船模型で広く認識されている1/350を設定したというところに、ただの立体化ではない、まさしく「プラモデル化」であるというコトブキヤの真摯なスタンスが感じられました。

KOJIMA PRODUCTIONSのゲーム「DEATH STRANDING 2」において、主人公サムと仲間たちが所属する跳ね橋部隊の移動基地として各地に赴き、数々の名シーンの舞台ともなった深部タール狩猟船「DHVマゼラン」。デザイナーである新川洋司氏のビークルや艦船モチーフへの造詣の深さから生み出された形状とディテール、ゲーム発売前に公開された特報映像におけるまさに“ヘッドクォーター”な展開は、世界中のファンに驚愕と歓喜を持って迎えられました。

そして、作品を象徴するこの一隻を新川デザインの数々を立体化しているコトブキヤが、1/350スケールでキット化。本キットではコトブキヤの得意とする精緻なディテールと量感が「非常に少ないパーツ数」表現されており、組み易さは特筆に値します。ボックスアートと組み立て説明書には製作の参考になるCGモデルや各種スケッチが収録され、モチベーションが高まります。ラフスケッチの内部図解もあり、これがスケール感の大きなヒントとして塗装仕上げを選択した際のイメージをサポートしてくれます。

前述したように、キットのパーツ構成は少なくまとめられています。船体上面もこのように一体成型となっていますが、絶妙な面の膨らみや角度にモールドがしっかりと施され、船体前部ハッチ上部の凹凸ラインの接合部をパーツの分割線とする工夫からも、開発陣のディテールに対する見せ方への丁寧な意識が感じられます。

船体下面はカラーリングに則ってブラックの成型色となっています。下面は特に凸モールドが上面以上に入っており、印象以上に複雑な面構成と各ディテールが妥協なく再現されていました。

機体後部左右のコンテナや船体前部、側面パーツのランナー。船体上面パーツのように、機体デザインにおけるディテール、パネルラインの多くをパーツの接合部として用いることで、極力合わせ目消しを必要としない現用設計を随所に見ることができます。

船体各所の入り込み部分もしっかりと再現されていました。特にコンテナの前部後部パーツは、そのディテールの深さによって船体のソリッド感にさらなるメリハリを与えています。

グレー調なカラーリングの中で鮮やかなワンポイントとなっているクレーンの先端パーツ。マルチカラー仕様として、今回もしっかりとモチーフの色味が成型色で再現されています。

ストーリーの進行と共に実装されるレールガンもあります! 砲口周辺に合わせ目が入らない分割に、船体同様のスケール感を意識した適切な段落ちモールドも各所に施されています。

浮遊航行するマゼランにベースはぜひとも欲しいところ。キットにはもちろん専用スタンドが付属します!艦名がバッチリと印刷されているのでストレートに組み立ててディスプレイしたいユーザーにも嬉しいです。また、コトブキヤ直営店・オンラインショップで購入の際は、限定特典として跳ね橋部隊のロゴが入った「フライングベース デス・ストランディング2 Ver.」がプレゼントされます(特典準備数に達し次第で配布終了のためお早めに!)。塗装仕上げを選択した際はスタンドも合わせてウェザリングなどしてみるのも楽しそうですよね。

組み立ては非常にスムーズです。船体もご覧のように中心となる構造パーツに各面をはめ込んでいく感覚の仕様で、絶妙な角度の接合ラインも確実にフィット。すぐに船体が建造できます。

船体後部の球形ユニットも大きく3パーツとなっており、そこにディテールパーツをはめ込むという組み易い構成。ユニットができたところで構造パーツに各ユニットを取り付けていきます。塗装時の着脱もし易いです。

2基のコンテナはわずか4パーツで組み上がります。ランナー状態からもそのディテールの密度感が見られましたが、組み上がると各面の凹凸大中小と余す所のないモールドを体感できます。コンテナだけですでにSFなオブジェクトとしてかっこいいので、さらにテンションが上がります。

タール深部狩猟船という艦種イメージの特徴となっているクレーン、ストーリーの進行と共にこれを大規模改修して備え付けられるレールガンは差し込み式の付け替えが可能です。

主要部位が組み合わさるとこの充実感、ズッシリとしています。船体、コンテナ、球形ユニット、各部位それぞれが少ないパーツ数にまとめられながらも、充実したボリュームとディテールを放ちながらDHVマゼランが急速浮上してきました!シャープな造形からソリッドで量感のあるデザインまで、コトブキヤが長年培ってきたプラモデルにおける立体化のノウハウがこのキットでも存分に発揮されています。

クレーンとレールガンそれぞれでシルエットが大きく変化します。また、レールガンの付け替えだけでなく、船体に搭載されているCIWS(近接防空システム)も同様にゲーム進行の再現として、ファランクス型とSeaRAM型を選択することができます。

機体前方は現実の沿海域戦闘艦や強襲揚陸艦を想起させる印象となっていますが、これに対して後方は球形ユニットの集合によって、SF的でより近未来のテクノロジーを感じさせる宇宙船的な印象も感じられます。こうした変化をシームレスに体感することができるのも、立体としての本キットならではの醍醐味です。
このマゼランは1/350、ということは同スケールの艦船模型と並べたらどのように見えるのだろう。このように浮かんだ方も多いと思います。まさに模型だからこそ実現する現実と架空の出会いです。ディテールアップにおいても、こうした艦船用のアフターパーツなどを用いるのも面白そうですよね。コトブキヤがこれまでメカキャラクターモデルで長年培ってきたブロック工法的な組み易い構成と、さまざまな作品で描かれてきたSF艦船というモチーフの組み合わせ。DHVマゼランはそんな二つの要素が合わさった、今後の「コトブキヤ発SF艦船摸型シリーズ」への期待が高まるキットでした。皆さんもぜひ、この可能性の一隻を手に取ってください!