
むかし、深夜のドライブに出かけたとき、大型トレーラーで運ばれる戦車に遭遇したことがある。トレーラーの前後を挟むジープとわたしの車以外に1台の車の影もない深夜のランデブーには奇妙な緊迫感があった。巨大ロボが戦うSF作品でも、こうした平時と有事がつながるインターミッションの瞬間が少なからず描かれる。そうしたシーンで作品の世界観を支えるのが、本編では脇役・移送シーンでは主役の専用車両たちだ。レイバーキャリア(パトレイバー)しかり、サムソントレーラー(ガンダム)しかり、ドレッドノータス(境界戦機)しかり。

「……ん? ドレッドノータス?」と思ったあなたはお目が高い。まずドレッドノータスはドレッドノータスとして売られていない。「境界戦機 ウェポンセット8」というのがコイツをお店で探す時の名前だ。境界戦機のトレーラー群はいい意味で個性がない。「個性がない」というのが褒め言葉になるのがこのプラモデルの面白いところで、その個性のなさが逆にどんな世界観にも器用に馴染んでしまう。

ウェポンセット8(という名のドレッドノート)の箱を開けてまず目を引くのが、構成パーツの豪快さだ。とくにカーゴ部分は1ランナー2パーツ(!)。支柱になるパーツを台座に立てるとカーゴの広さが強調されて、その様相はさながら神殿のようにも見える。

このキットもバンダイ製品ではもう当たり前になっているスナップフィット。加えてドレッドノートの場合、迫力あるパーツ分割のされ方もあって、作っていると本当にブロック玩具を組み立てているように錯覚する。

運転席とカーゴを組み合わせたら好きなロボットプラモを乗せよう。自分の思った世界観に合わせて、アタッチメントパーツのガトリングやミサイルランチャー、スモークディスチャージャーを付けたりはずしたりしよう。ゴリゴリの武装トレーラーにしてもよし、無骨な装甲トラックにしてもよし。「境界戦機 ウェポンセット8」をそこいらのウェポンセットと一緒にするなかれ、中身は驚くほどボリューミーなSFトラック野郎なのである。