2022年1月29日、予約しておいた『FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ』が届いて早々、息子(4歳半)が奪い取るようにその箱を空け、それから二人のスーパープラモデルタイムが始まりました(写真端にいるのはすでに発売中のHG 1/72 メイレスケンブ)。
SUNRISE BEYOND × BANDAI SPIRITS が送る本格ロボットアニメーション『境界戦機』というプロジェクトを、昨年末から親子で存分に楽しんでいます。SUNRISE BEYONDのオリジナルアニメ……いや、あえてここはリアルロボットアニメーションと言っておきましょう。当然、BANDAI SPIRITSのプラスチックモデルも合わせて楽しんでいるので。
2021年10月よる、本作は全国ネットされると同時に、各種配信サービスでも公開。プラモデル展開も主役メカらに留まらず、敵対勢力として登場するメカなどを含めて過半数はキット化されそうな勢い。境界戦機のホビーサイトには「本気で新たなロボットアニメーションを作り出す」と堂々と謳われており、それが過言なく実践されています。これは「我々はリアルロボットをやっていくのだッ! 2021年現在のリアルを掲げてッ!」との宣言としても受け取れ、アニメーションの世界観と演出、メカ設定にビシバシとイデオロギーを感じます。それでいて4歳児に観せて安心な年齢レーティング感。お父さん、安心です。
1979年放送された機動戦士ガンダムに端を発するリアルロボットブーム。アニメーション製作と合わせてマーチャンダイズされたトイやプラモデル。メーカーとユーザーによる「リアルロボットとはッ!? そもそもリアルとはッ!?」のコール&レスポンスから生み出された真実味(の共同幻想)が、’80sリアルロボットアニメプラスチックモデルブームの核にあったのではと想像します… と、前回の寄稿でお話しました。
そのリアルロボットブームの系譜を担うべく起きたのが『境界戦機』という新規プロジェクトであり、その熱量にグッときているのです。コンテンツ溢れる2022年の現在において「新規の」リアルロボットアニメーション製作とそのマーチャンダイジング展開は、キャラクタービジネスにおいて容易ではないと思います。
そのような現状にありながら、「我々はふたたびリアルロボットアニメをやっていくのだッ!」という叫びにも感じられる境界戦機を、リアルロボット直撃世代の我々が推さずにどうするッ!? という、崇高な意思のもと「予約する」をクリックしたFULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ。
届いてビックリ、なにこのスゴいプラモデル。ボリューム感ある造形にパーツ構成、その組みごたえ、完成に至るまで親子で終始興奮しながら組み立てた4日間でした。そう、子供の集中力は何十分も続かないので、一緒にプラモデルを楽しむのであれば気長にやっていく必要があるのです。その分、完成に至るまでの気持ちもじっくり、しっかり高まります。
まずハサミで袋を開けるのにも全集中。半年前は「お父さん、袋あけて」だったのが、今回はケンブの箱を開けるやいなや「ハサミッ! ハサミッ!」と道具入れからハサミを持参してくる主体性。基本的に「自分ッ! 自分ッ!」と、各作業工程を自分でやっていきたい様子。
とはいえパーツ点数もそれなりにあるので、私はランナーからの切り離しとゲート処理を担当し、子が組み立て……という分業制でプラモデル制作を進めていくことで納得してもらいました。大ブリなパーツはLEGOブロックのような立体パズル感もあり、説明書で見ながら一問一問解いていく事で得られる達成感がある模様。そして幼児の指先の運びであっても「ヌタッ」と気持ちよく組み上がっていく絶妙なハメアイ公差!
説明書の前半、手足パーツの構成は大変カジュアルで4歳児でもなんとか組み上げられたのに対し、後半のボディと頭が急に「これがバンダイのプラモデルに対する美学と最新テクノロジーです。ご堪能ください」と剛速球が。大人の私でも思わず声がもれ、心拍数が上がるドラマチックな展開……。これは子供も大人も、多くの方に体験してもらいたいッ!
保護者として息子の挑戦を見守り、多くのコトを感じ、学んでもらいたい。できないことをできるようになる感覚を得てもらうには、子供だましなモノやコトでは成せない。「本物」であること。という考えがあるのですが、このリアルロボットのアニメーションとプラモデルには「本気で本物」を感じます。それゆえの喜び、ライジングがあるのです。
以下にあるフミテシさんのキットレビューも是非ご覧ください。『FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ』がいかにセクシーかをより感じられるはず。読後はきっと、辛抱たまらず本キットを手にしたくなる事でしょう。
完成した1/48のメイレスケンブを手にして、その塊感を存分に堪能している息子です。『境界戦機』のアニメをあらためて視聴しているのですが、その際には必ずこのケンブを手にしながら観ています。もちろんブンドドしながら。リアルロボットアニメーションの楽しみ方としては100点満点です。
男児はある時を境に説明魔になるとは知っていましたが、4歳も半ばになったからか「このロボットたちは無線で動いているからセンサーをダメにしたら無線がなくなるのでロボット動かなくなるんだよッ!でもセンサーは人間には反応しないんだよッ!」と、オーディオコメンタリー的な解説をしてきてギョッとしました。彼はまさにリアルロボットアニメーションを全身全霊で受けとめている。40歳後半の自分よりも、4歳半の彼の方が『境界戦機』に段違いにリアルを見出している。彼の中でリアルが爆発している。この爆発はこれからの彼の人生とって、大きな糧になるのは間違いないでしょう。自分がそうであった事を思い出したので。
プラモデルは様々な世界へと、フィジカルにアクセスできる希有な遊びだと考えます。自動車に飛行機、船舶にミリタリーミニチュアなど現実世界に実存するモノから、リアルロボットというフィクションの世界に創造されたモノまで、どうあれ自分の中に像を練りあげる遊びです。人間ひとりの人生で体験し得れる現実世界はたかが知れていますが、プラモデルは手にして自身で練り上げた像によって内なる世界は広がります。4歳児の彼にとっては現実世界とフィクションの世界の境界はより曖昧で、リアルロボットアニメーションの世界を体験することは、自分の中の世界が広がるのと同義になっていると想像します。そしてリアルロボットのプラモデルは、それをブーストする役目を果たしているのでしょう。
子と親が同じ目線、同じ熱量でライジングできるコンテンツは、そうそうありません。「私がリアルロボットに魅せられ続けていることに間違いはなかった」ということを息子が証明してくれた。それを境界戦機というプロジェクトに携わる方らに、敬意を込めてお伝えしたいです。私は、我々親子は、このリアルロボットブームの系譜を全身全霊で受けとめてエンジョイしています……とッ! 「本気で本物」は届いているとッ!
今回、息子の高まりに当てられて、つい熱っぽく語ってしまいました。なによりも、多くの方らに『境界戦機』というプロジェクトを体験してライジングして欲しい思いもあって。アニメーションの方は2022年4月より第2部が放送される予定だそうですし、プラモデルもまだまだキット展開されていく模様。期待しかありません。
それでは以上、ともに『境界戦機』を楽しんでいく2022年としていきましょうッ! エンジョイッ!
「つくる」をテーマに、世間話をしています。