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【レビュー】再発見される時を待っていたスーパーカーの思い出/楽プラ カウンタック LP400

 形を変えて再発見されるまで眠っている子供の頃の思い出を、プラモデルが達成感とともに掘り起こしてくれることがある。完成品を眺めるだけではなく、自分の手を動かし、最後まで作り切るという工程が加わることで、その記憶は現在の感覚へと変化する。大人になるといろいろと大切なことを忘れてしまうものだと思っていたが、どうやらそれらは消えてしまったのではなく、再発見されるきっかけを待っているだけらしい。

 カウンタックを作ろうと思ったのは、突然むかしの記憶が掘り起こされたから。1970年代後半を過ごした子供たちは、猫も杓子もスーパーカーブームの洗礼を受けていて、特に赤いカウンタックを見るといまでもビビッドに反応してしまう。当時、ミニカー、プラモデル、ついには消しゴムにまで姿を変えて、その特異なフォルムは小学校の教室にまで浸透していた。

 それを思い出したのは、仕事を終え、街路樹にイルミネーション灯る街なかを最寄り駅へ急いでいたときのこと。クルマに疎くても、普段聞き慣れないエンジン音が大排気量のスポーツカーのそれだということくらいわかる。シザーズドアが印象的なランボルギーニがそこにいた。
 帰りの電車のなかでスマホを取り出し検索してみると、「クリスマスセール」の文字が躍る通販サイトにアオシマの楽プラカウンタックが6色揃って並んでいた。カウンタックといえば赤色のイメージだったが、LP400は152台しか生産されなかったにもかかわらず、ランボルギーニ社は顧客からのボディカラーの要望にかなり柔軟に対応していたらしい。わたしは少し悩んだ末に、オレンジ色を選択した。

 楽プラは接着剤不要のスナップキットで、ボディは一体成型のシンプルな構造。しかしながら、パーツの合わせがないそのシンプルなボディが逆に、全身から匂い立つフォルムの流麗さを際立たせている。感心したのはそこだけではない。面白いのは塗装工程まで省力化しようというその試みだ。ウェザーストリップやエアインテーク、はてはウィンカーまでシールが用意されている。シールの枚数も35枚程度と多からず少なからず絶妙な塩梅で、集中力が途切れる前に確実にゴールまで手が届く枚数に整えられている。

 子供の頃の記憶に導かれるまま買ってみた楽プラのカウンタックLP400。自分へのクリスマスプレゼントだったはずが、クリスマスイブを迎えるまでには組み上げてしまっていた。楽プラだから生まれるこの余裕。あとは眺めてよし、飾ってよし。プラモデルというのは完成品と違って自分の手を動かすという工程が加わるぶん、飾ったときの達成感が強い。そしてこの楽プラのカウンタックはその名のとおり、自分だけのスーパーカーを組み上げるという達成感が、じつに楽に手に入るのである。

 完成までの道のりに余裕があったからだろうか。わたしは人生で初めてシザーズドアの開閉ができるようにする改造に挑戦してみた。今年のクリスマスに見つけたスーパーカーは、子供の頃の思い出に40年ぶりに新たな1ページを付け加えてくれたようだ。

tomのプロフィール

tom

1975年生まれ。銀座で昼の商売やってます。説明書どおりに作れません。

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