
『清水 圭 飛行機模型筆塗り塗装テクニック』という本を読み込んで飛行機を塗った。この本は水性塗料を使った筆塗りのテクニックについて書かれた本なのだけれども、自分は普段ラッカー塗料を使っている。ろくに読みもしないで塗り始めてから気づいたとかではない。めっちゃ読み込んで承知のうえでラッカー系塗料を使って塗り始めたのだ。もう最初っから書かれたとおりにやろうとしてない。料理をレシピ通りに作らない人のソレである。

「とりあえずムラになってもいいから筆で色乗せてけばいいんでしょ?」とタカを括って塗り進める。なんだか下手な人の塗り絵みたいな雰囲気の状態から始まるのだけど、最初のうちは本の途中写真もこんな感じだし、塗り重ねるうちに自然に「味」が出てくるんでしょ。なんだかとっても気が楽だ……俺のせいでいまこんなふうになってるわけじゃないからね、本に書かれた通りにやってないけれど(オイ)

特に1層目だと透けやすい色は盛大にムラになっていいぞ!なんか本の通りっぽいぞ!って進めてたんだよ。 全体に色が揃ってたらデカールを貼る。デカールを貼った上からさらにタッチを加えていくから思ったよりすぐにこの状態になる。このまま完成にしちゃってもいいな…というか昔はこのあたりで満足していたな。まんまエアブラシを導入する前の頃の自分の作りだ。わざとムラを残したか、不本意ながらムラが残ったかの違いはあるけれど……。

ここからが迷子だった。「それらしいタッチ」を加えていくというのがさっぱりわからなくて、お手本の途中写真は途中写真の状態でカッコイイのに自分のは「漠然と筆目をつけていく」というなんというか意思のない手数だけが増えていっているように見えて、「それらしいタッチ」という概念がゲシュタルト崩壊していくというか……。「資料も参考にしながら…」という旨のアドバイスも挟まるのだけれど資料写真に残る実機は結構のっぺりしていて、筆目とかタッチの残るような塗装を施されているわけじゃない。「そもそも俺、なんでムラつけてるんだっけ?」とか哲学を始める始末。
それもデカールをシンナーで撫ですぎて取り返しがつかなくなりかけるあたりで逆に落ち着いた。この後またネービーブルーを上塗りして馴染ませるのだけどその後は我に返るというか、本の途中写真通りにはなっていないのだけど一旦やらかした箇所をいくらかリカバリーできたと思えるとこまで引き戻せた気になるととりあえずそこに合わせるように全体に筆が進む。
スポンジチッピングとかウォッシングとかひととおりの作業を進めてというか、本に書いてあったからそのとおりこなしてみて、なんか塩梅が足りないなと思ったところを後から戻って行ったり来たりしていく。そのうちに「この途中写真の言わんとしてるカッコよさに達したな」みたいな感触を得られて「ヨシッ!」という瞬間を幾度か重ねていくうちにワイルドキャットは完成した。

筆目で作るタッチとスポンジで乗せるチッピングと、ジャバジャバ濡らすウォッシングとを掛け合わせて表情を作っている。どこかの作業だけで完全に成功というのも完全に失敗というのも案外なくて、なおかつ均質な塗膜を求めないのもあって下地を溶かすような性質の塗料を塗り重ねても何とかなる(スミイレの上からまた本体をラッカーで塗るとか)。美少女フィギュアの肌を塗るわけでもないので鮮やかな発色じゃなくていいので割と永久にこねくり回せてしまう……。一回作り切って振り返ることでようやく個々の作業が体系として理解できる。本には最初から体系として書かれているんだけれどさ。

出来上がったプラモの写真を撮る。こうしてスマホで撮影するだけで改めて重ねてきた作業がよく拾える。ツヤも表情の一つとして変化させるといいみたいなことが書いてあったのはこういうことなんだなとか、チッピングはもっと派手にしてよかったんだなとか。水性塗料筆塗りの本を読んでラッカー塗料を筆塗りする。勉強になったな。書いてある通りにやらないんだけどとても参考にする。勉強って言わないかもなコレ…… 。でもね、使う塗料や道具が違うけど、できそうなところを参考にして手を動かしてみる。模型テクニック本のななめ読み、面白いよ(オイ)。