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生活の中に差し込まれた、デカールの1時間。暮らしの隙間に、デカールを貼る

 出かけるまで、あと1時間。正直、腰を据えて模型を触るには中途半端な時間だ。でもこの日、僕はデカール(マーキングなど表現する極薄のシールのようなもの)を貼ることにしたのです。

 今楽しんでいる「タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.369 ドイツ軍 軽戦車38 (t) E/F型」のプラモデルは、デカールの量がちょうど良い。多すぎず、少なすぎず。「ここを貼ったら完成感が出る」というポイントがちゃんと用意されています。砲塔の大きな番号、車体側面のマーキング。数枚貼るだけで、無地だった戦車に個性が現れます。

 デカールを貼ると、より完成形に近づくので「今日はここまででいいな」と、自然に区切りがつくのも良いです。この“区切りの良さ”は、忙しい日の模型時間にとても大事。少ない時間でも「今日はプラモ楽しんだぜ!」という気分をがっちりとフォローしてくれます。

 そしてデカールは、しっかり乾かしたい! デカールって、貼った直後がいちばん触りたくなります。でも今日は出かける予定がある……貼ったら、もう触れない。これが、結果的にすごく良かったのです。

 出かけている間、誰も机に近づかない。デカールはただ、静かに乾いていきます。「触らない」という最強の定着方法が、自然に成立しました。

 帰宅して机を見ると、そこにはさっきまで無地だった戦車が、デカールによって急に饒舌になった姿を僕に見せてくれます。「どこ所属なのか」「どんな役割なのか」を語り始める……。早く続きをしたいぞ! という自分の気持ちを盛り上げてくれるのです。出かける前に、デカールを貼るという選択。まとまった時間が取れない日でも、模型はちゃんと前に進める。むしろ、作業をやりすぎない、触りすぎない、気持ちよく区切れる……そんなメリットが揃っているのが、「出かける前のデカール貼り」だったのでした。

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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