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【レビュー】20年の技術をひと箱で味わう贅沢!/タミヤ 1:35 ドイツ4輪装甲偵察車 Sd.Kfz.222

 陸モノを作りたい……でも戦車のキャタピラまわりを組む気分でもない。そんなわがままな気持ちを抱えたまま、お店の棚を眺めていました。そこでふと目に入った箱が、この装甲車というジャンル。しかもエッチングパーツとアルミ製砲身が付属しているらしい。「これは面白そうだ」と、手に取ったタミヤ1/35 ドイツ4輪装甲偵察車 Sd.Kfz.222でタミヤ模型の時間の流れを味わえたと言うお話。

 このキットは過去に発売されたものに、エッチングパーツ(金属製の薄板で再現された金網)とアルミ製砲身、さらに新規でジェリカンとドラム缶を加えてリニューアルしたキットになります。制作途中に気づいて驚かされたのは、車体を構成するパーツは1975年の金型で成形されたランナーである事。そしてバリがほぼ存在しない事です。半世紀前の金型でこんなに整ったパーツを成形できるなんてと思わず姿勢をピンとしてしまいました。

Max Factory PLAMAX AAAヴンダー

 では追加の新規パーツはどうでしょう。こちらは「1995」と刻印があり、本体より20年新しい金型であることがわかります。ジェリカンには目を細めたくなるほど小さくKraft stoff(ドイツ語でガソリン的な意)とシャキッと刻まれており、精密さがうかがえます。

 アルミの砲身は細かいディテールが彫られており、エッチングパーツのメッシュカバーは薄さはもちろんのことフィギュアや車体の内部構造をきめ細かいメッシュ越しに見ることでリアルさの演出にも役立っていると言えます。対して車体のパーツをじっくり眺めると錠前の鍵穴が凸モールドで再現されているなどの発見もあり、技術の差を感じるとことができます。この歴史の積み重ねをワンパッケージで楽しめるという贅沢な体験がでこのキットの醍醐味なのだと確信しました。

 さて、装甲車の組み立ては細くて折れそうなパーツを相手にする集中力が必要な工程がいつくかありますが、説明書の半分くらい来たかな……というタイミングで足回りと密度抜群の機関砲回りが出来上がり、ちょっと興奮。飽きさせない組み立ての導線と模型はこうあるべし!と言う意気込みは半世紀前から理念として存在していたんですね。

 エッチングパーツの加工は終盤の工程。実はエッチングパーツの加工は今回が初めてだったのですが思っていたよりずっとやさしく、肩に入っていた力がふっと抜けます。懇切丁寧に手順が書かれた説明書のおかげです。
 僕はスケール模型は塗装してナンボと思ってましたが、タミヤの異なる年代の技術が同居したこの状態は極めて美しくこのまま飾るのがベストと判断しました。

 ミリタリー味のある成形色と金属パーツとの色合い、ヘリに腰掛けるアニキのおかげで塗らずとも抜群の雰囲気。僕のようにエッチングパーツが初めての方も挑戦しやすいキットだと思います。指先と目で技術の進歩を味わう極上の体験を、みなさんもぜひ!

ダチョウのプロフィール

ダチョウ

1990年生まれ
プラモは基本パケ買い。テーブル隅っこのワークステーションが作業場。主に水性塗料でプラモ楽しんでます。

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