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【レビュー】人砲一体の美学。「タミヤ ドイツ 5cm対戦車砲 Pak38」砲手たちの所作に迫る!

 第2次大戦情景の代名詞たる対戦車砲。数々のジオラマ作品で名脇役となり、時にはテーマそのものにもなっている臨場感溢れるモチーフですよね。その最新形として、発表から瞬時にファンの心を射抜いたタミヤの“ドイツ 5cm対戦車砲 Pak38”。フランスのソミュール戦車博物館での綿密な取材を基に作り上げられた精密な再現とパーツ設計など、まさにタミヤ流の完成度の高さでした。そして、対戦車砲に欠かせない要素と言えば、そう!砲手たちです!今回の所作は如何に!さっそく照準を合わせてみましょう。

 近年のタミヤフィギュアの特徴でもある有機的な分割に惹き付けられるランナー。軍装の各所に走るシワにも見入ってしまいます。展開状態の対戦車砲を運用する砲手たちなので、全員しゃがんだ姿勢の構成。こうしたポージングの際に生じる屈折部など、シワの自然さに毎回驚かされます。

 立ち姿に対して膝立ちといった姿勢は、違和感なく表現するのが難しいとされてきましたが、表徴のシワだけでなくしっかりと布地の下にある形も垣間見える造形。タミヤフィギュアは吸い付くような組み味、と言わしめる分割面も見どころです。

 まずは目標指示を出す指揮官。頭部も妥協なく造形されているので、双眼鏡の接眼目当てがしっかりと眼窩にフィットします。ヘルメットで隠れてしまう耳までこの精密さです。

 スケールに合わせて適切に調整されたシワやモールドの深さに落ちる影。1/35スケールなのに、これより大きいサイズの造形をする際の参考にもできてしまうのです(現代のテクノロジーで作られたドイツ兵士1/16版、待ってます!)

 タミヤフィギュアで臨場感のある表情をもった名俳優は数多いですが、Pak38照準主は2025年の助演賞ノミネート間違い無しの演技です。照準眼鏡を覗く絞られた目に、目標に砲口をいち早く合わせようとする緊張感が口元にも現れています。しかも歯のモールドまであるのです。

 さらに注目ポイントは左脚付け根部分の形。Pak38の照準眼鏡は砲左側に配置されているので、ボックスアートでも描かれているように砲の脚を跨ぎ、これに腰掛けるような姿勢になりながら照準操作をしていきます。この砲の脚にぴったりとフィットするように脚の付け根部分が形作られていることで、文字通り「人砲一体」の情景がキットだけでも成立してしまうのです。

 素早く次弾を込めるべく待機する装填手。抱えられている対戦車砲弾は、絶妙なテーパーで先端に向かい直径が絞られていく薬莢形状も見事に再現されています。砲弾の両端を把持する手だけでなく、その重量を両膝でも受け止めた重さを感じられる所作の妙も素晴らしいです。

 見事な両膝立ちの造形。膝の屈折部は布地の量が溜まって谷形のシワが深く入りますが、シワ表現の按配でより難しい臀部から膝へと繋がっていくラインが、とても美しくモデリングされています。ブーツの布地との材質の違いが絶妙に作り分けられているのもポイントです。

 装填手の2人目は砲弾ケースを支えた姿勢です。対戦車砲弾が最大4発収納できるケースは重さが10数キロ以上となるはずなので、両膝とケース本体の3点でこれを支えて連続射撃に備えています。キットでは蓋の開閉が選択できるケースを4つ組むことができると共に、1発を取り出した状態のパーツも付属。複数の空薬莢と合わせて情景模型の先駆者たるタミヤらしい心配りで嬉しいですよね。

 今回のPak38砲手たちにも、タミヤらしい硬質な精密さだけではないスケールモデルの楽しさが凝縮されていました。皆さんもぜひ、精密ながらも組み易いPak38と共に、所作に溢れた砲手俳優たちを組み立ててください。

「巨大生物に照準!弾種徹甲!!急速射!!!」

大森 記詩のプロフィール

大森 記詩

1990年生。彫刻家。美術大学在籍中から模型誌作例や作図などに携わる。現在は作家活動と並行しながら主に筆塗り作例を担当。合わせてミキシングビルド/キットバッシングによるSFメカニックを月刊ホビージャパンを中心に発表している。

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