
2025年の静岡ホビーショーのハセガワマクロスシリーズの目玉「イサムスペシャル」。昨年、同社18年ぶりの完全新作バトロイドとしてリリースされた傑作「YF-19バトロイド」に同社VF-25ファイターのスーパーパック、完全新規のミサイルポッドを追加したいわば「最新バトロイドのオプション全部盛り」。子供のころなら誕生日やクリスマスに買ってもらうべき豪華キット。「たまんないねぇ、カワイコちゃん」(by:イサム・ダイソン)とはまさにこのこと。

バルキリーの系譜って「戦闘機からの変形を維持するデザイン」ゆえに、人型になったときに追加オプションが背中側に集中しがちな中、正面から顔の見えるアングルできちんとパワーアップしたことを主張してくれるのが今回唯一の”完全新規オプション”である肩部ミサイルポッド。

接続はボールジョイントの受けが増設された肩基部ユニット。元のYF19の丸い凹モールドはこのオプションのマウントラッチであるというデザイン解釈。鉄アレイ状の両端ボールジョイントは通常プラ素材同士のハメ合わせでも必要十分な保持力を確保している。このあたりの可動軸の配し方や、安易にポリ部品を充てない処理は組み易く完成後の扱いやすさにも寄与している。

ミサイルポッドを除けばこのキットの新規部品は既存部品である「VF-25用スーパーパック」を取り付けるためのマウント部品と言っていい。

主翼も展開状態で固定するための勘合に変更されたもの。前縁には巨大なスーパーパックを確実にマウントできるよう勘合用のタブが追加されている。スーパーパック自体は流用元のキットに準じた「接着剤を使う仕様の部品」なのだけれど、スーパーパックと展開状態の主翼の部品は接着なしで差し込むだけで十分な強度で固定できる。


そしてその既製品からの流用部品であるVF-25用スーパーパック。2014年に登場した部品なのだけれど、このイサムスペシャルが登場する『劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ』にノータッチで「マクロスプラスに登場するYF-19 のバリエーション」としてこのキットを手にした……なんてスタンスなら初めて目にする人も多いと思う。

いわゆるアニメの「決定稿」がCGモデルで担保されるようになって、より緻密になったメカ設定に真摯に取り組んだ良作。デザイン面でもプラモデル造形としてもぜひこの機会に味わってほしいスーパーパック。キットはこの大ぶりなスーパーパックを危なげなく保持できるのでストレスなくその姿を楽しめる。ここはあらかじめイサムスペシャル仕様の発売も念頭に置かれていたであろう設計の優秀なところで、太もも横から飛び出す主翼バインダーの接続に保持力の高い4ミリ径のポリキャップを採用したのが効いている。

ミサイルとVF-25用スーパーパック以外は元となったYF-19バトロイドと同じ内容でこっちさえ買っておけばすべて揃うかというと、新規部品の主翼は追加ではなく既存ランナーと差し替わる構成なことに加え、実はファストパックの成形色もノーマルのYF-19に同梱されていたグレーのもの(左)からスーパーパックとおそろいのグリーン系に振られたもの(右)に変更されている。

所属が統合軍からS.M.Sに変更されたデカールも新規に用意されたもの。新規シートが追加されたのではなく、専用に起こされた新シートにまとめられている。あくまでもVF-19イサムスペシャル用であって、このパッケージでマクロスプラス版も網羅できるわけではない。組み立て説明書とは別に用意された大判のフルカラー印刷のキット原寸大塗装指示書も刷新だ。単純に図版がイサムスペシャル装備に差し替えられただけでなく、デカール原寸では細かすぎる注意書きに至っては拡大表示も追加され、貼る際の向きの判断が容易になった。

この塗装指示書は紙面の関係で両面印刷になっているんだけれど、結果的に余ってしまう裏面の半分はボックスアートを印刷したポスターライクなサービスプリントになっていてウレシイ。盛られたのも、新規になったのもパーツだけではないのだ(!)。

そんなわけですでにマクロスプラス版バトロイドを持っているヒトでも両方揃えることにしっかり意味のある構成に仕上がっているんだな。何よりハセガワマクロスシリーズで一番組みやすいバトロイドがYF-19。こうして両方組んで並べてしまうくらいには組みやすい。だからイサムスペシャルを狙っていた人も、もうすでにマクロスプラス版のバトロイドを持っている人も安心して買おう!カワイコちゃんは何度買ったってたまらないのだから……。