

人と一緒に歩いていると「 あの車は何?」と聞かれることがある。別に車のことは大して詳しいわけではなく、プラモデルを作っているだけなのに、何でも知っているかのような扱い。ただ、そうやって私に話しかける同行者のことを思うと、日常生活において「珍しい車に目が行く」という状況になっていることが楽しいと思う。野原を歩いていて「この花は何?」と聞かれるのとさほど変わらないと感じるし、「かっこいい車が走ってる」というのと少し違う、一歩突っ込んだ興味関心の持ち方のようにも感じられる。
「あれは引っ越しの時に便利そう」といわれて、ぱっと目をやったらそこにあったのはまさかのダイハツ ミラ ウォークスルーバン。走っている姿を見る日が来ると思わなかったのと、せいぜいピックアップトラックだろうと想像していたせいもあり二重で驚いた。実物は確かに高さがあり、他の車と並んでいるとそれは良く目立った。

車のプラモデルは他のジャンルと少し違うところがあると思っていて、それはある日突然実物に出会う日がある点だ。博物館に見に行くでもなく、イベントに足を運ぶでもなく、いきなり現れる。そのときの「まさか存在していたとは……」的な面白さを味わえるのはマイクロエース オーナーズクラブの少し古い車たちだ。
それがラインナップにあることは知っていたし、作ろうと思ったことも何度もあるけど街を歩いて急に出会った今こそが最高の作り時。箱を開けたら目に入るボディパーツはまさに「昨日見たやつ」といった感じで、古い車、昔のプラモデルなのにそこから得られる気持ちはとても新鮮だ。そして作ってみると、ほとんどの工程が接着剤不要で組み立てられることに驚く。背面のハッチを滑り込ませるようにはめる設計は「おお」と声を上げてしまうほど。フロントガラスやワイパーは接着したのだけど、これは発売したての頃は普通にかっちりハマったんじゃないかな……というような痕跡を感じる。

しばらくして、ウォークスルーバンを見つけてくれた人から「めずらしい」と一言添えられて届いたメッセージには、クレープの移動販売車が走行している黄色い車が写っていた。このプラモデルもプラスチックの色は黄色でたこ焼き屋さんのデカールがついていて、移動販売車として作れるのだけども、この手の車は黄色!みたいな頃があったのだろうか。