

赤系と青系に金メッキされたランナーがじつに11枚ですよ。それからプラスチックの色が金2種、塗装済みパーツが金。金の色だけで5種類。大丈夫か。さらにボディシェルに奢られたクリアパーツのダメ押し。否が応でも金、あまりにも透け。そして値段がまた痺れる。まあでも、メッキパーツとクリアーパーツは個人で錬成することが難しいプラモデルの表現における二大巨頭だからな……。

PLAMAXのGODZ ORDER最新作、「オーバーロード・ガブリエル DXメッキVer.」は、模型趣味における「常識」をぶっ飛ばす組み立て宝飾品みたいな存在だ。切って貼って削って塗って……というかつてのプラモデルの常識とはまったく異なる場所から出現したまさしく上位存在。塗装の技量も精密工作も作品知識も拒絶して、「これは美しい!」と口に出す勇気だけを求めてくる。

盾に彫刻された三つ目の女神の顔、丸い膝アーマーに嵌め込まれた涙を流す人。腰には十字架が束ねられ、兜から伸びる美しい翼。どういう世界観のどういうキャラクターなのかは……たぶんキットに付属するはずの解説書を読まなければわからないのだけど、この有無を言わさぬゴージャスさはいつまでも見ていられる。
偏光素材が練り込まれてうっすら虹色に光るクリアのボディシェルの内側に、もう一段階深く金色のフレームが収まっており、この構造が奥行きと密度を何倍にも増幅させている。これはプラモデルという工業製品にとてもマッチしたデザインだし、個人の手作業ではなかなかたどり着けるものではない。

この“やりすぎプラモ”において金の表現がここまで分化しているのは、艶の違い、色温度の違い、メッキと塗装の光の反射角の違いがそれぞれ意味を持っているからだ。どこかを目立たせるための金ではなく、「全部金」をうまく調和させるための差。

このキットを組んでいると、「これは何なんだろう」とという疑問に何度もぶち当たる。甲冑なのか、宇宙服なのか、神なのか、それとも少女なのか(いや、なんか中の人は男性らしいです……)。天球儀のような杖や宇宙服のヘルメットはすべてを語らないけど、同時にすべてを出し尽くすような造形。塗らなくても完成している模型って、こういうことか〜!という納得がある。

完成したガブリエルを手にしたとき、あなたはきっと驚くほど落ち着いた気持ちになるはずだ。ギラギラのメッキも、ありえんくらいギッチリと入れられたディテールも、ちゃんとそこで調和していて、「そこに、全部がある……」という謎の安定感がある。それは同時に「なにも足さないほうがいい」というすがすがしい諦めみたいなものにも接続しているのだが、こんな敗北感ならいくらでも味わいたい。プラモデルを塗装してナンボの時代は、たぶんまだ続いている。でも、「塗らなくてもナンボ」になってしまう模型がここは確かににある。え、塗装する人に優しい非メッキバージョンもあるの? どこまでオーバーロードなんですかあなたは……。