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ウインターミュート/あるいは金閣寺のプラモで「無音の京都」を固定する方法。

 いけすかない人工知能に「ウインターミュート」と名付けたウィリアム・ギブスンのセンスは、1984年としてはあまりにも詩的すぎた。スイスの市民権を持つそのAIの名は、登場から40年経った今もサイバーパンクファンのロマンを刺激し続けている。
 キョートシティに初雪が降った朝、朝日新聞のSNSアカウントに一葉の写真がアップロードされた。雪降る夜はそうじゃない夜よりも静かだ。積もった雪が街の音を吸い込んでミュートする。朝凪で水鏡となった池が無音を映し出している。北山の朝の時間は停止している。

 京都の朝の風景に僕はウインターミュートを感じた。感じたんだからしょうがない。「マジ冬寂じゃね?」とゴーストだって囁いている。さっそく童友社のベテランプラモをポチり、届いたキットにランナーごと金のスプレーをまずはブーって吹いてやった。

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 建物プラモは庭木作りも楽しめる。プラスチックの松の木に指でちぎったスポンジを最新の接着剤で貼る。初体験のこの行為に僕はいたく興奮した。子供のころだったらきっとすごく苦労しただろうと容易に想像できたからだ。最新の接着剤、そしてちょっといいピンセットを使うと作業がものすごくラクチンに進む。

 キット付属の水面ステッカーはカリフォルニアの空を映したようなスカイブルー。僕のウインターミュートに必要なのは金色の水鏡だ。ゴールドのカッティングシートをポチって、アナログ作業でコピー&ペースト。つまり付属ステッカーを型紙にして金色の水面ステッカーを複製しました。ハセガワのミラーフィニッシュシートはサイズが足りなかったのでご注意ですぞ。

 金閣寺はベテランキットなので金型が疲れているのか接着面にもデコボコがありどうにも建付けが悪い。壁面同士をカドで合わせる設計も、パーツがくっつくまで手を離せない。40年前にこれを組み立てるのはマジで卍だったろうと感じた。寺だけに。現代に流し込み接着剤[速乾]があって本当に良かった。プラスチックの裏側から紙を貼る作業も初めてなのでいたく興奮した。

 はがきサイズのベースに載った小さなゴールドのテンプルだが、東雲の空の下で見ると満足感がすごい。満足感で脳が焼き切れそうだ。冬が寒くて本当に良かった。これは僕のウインターミュート。「冬の無音」の模型だ。

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鷲谷憲樹のプロフィール

鷲谷憲樹

食事やホビーなどの快楽にまつわるコンテンツで暗躍するホビーおじさん。団塊ジュニア世代。

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