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秋の夜長は読書とプラモ。戦艦武蔵は青く塗れ!

 本日オススメするのは吉村昭著「戦艦武蔵」と「戦艦武蔵ノート」の二冊です。建造から沈没までをまるで映画を見てるかのように描いた小説「戦艦武蔵」と、そのメイキング版のような「戦艦武蔵ノート」。「武蔵は沈没したものの、発見されることがなかったため未浸水部分が浮袋的役割をはたして完全に沈まず、艦首を下に向けた状態で海流に乗って太平洋を周回しているのかもしれない」(当時の説です)。それならこの武蔵が作りたい!。こういう実験的な物には、大きさの割にはお財布に優しいマイクロエースの1/600モデル。このプラモデルは旧オオタキ製で、自分がお子様の時に大和を作ったことが思い出されます。

 43㎝の船体とランナー二枚、モーターライズ仕様なので電池金具等の小袋付き。ランナーにはお見事!と言いたくなるほどのバリがありますが、「プラモとは型と型を合わせたスキマに樹脂を流して作るのだ」、というのが理解できるキットはいまどき逆に貴重です。ポジティブシンキング! インストにはパーツ番号に対応して何の部品であるか表記があり、縮尺された謎な形がなんなのかわかるようになってます。パーツ少ないので簡単だろうと思いきやそうでもなくて同じように苦戦した幼少期の追体験をしつつ、でもすぐ完成するのが楽しい。

 次はハンダゴテを爆弾と魚雷に見立て、本に付属の被害図を見ながら穴開け。濃い青、蛍光ブルーを筆でザザッと塗り重ね。塗り残しや下地を侵しても気にしない。全体がなんとなく青くなってればOK。模型は「丁寧にやらないとダメ」な世界っぽく感じるかもしれませんが、子供のお絵かきみたいな筆使いが楽しいです。

 UVライト当てると光りすぎにも感じたので、部分的に青や黒鉄色をガサガサとなすりつけます。こうした「行き当たりばったりプランニング」も楽しいことのひとつ。そういや岩絵の具(日本画の顔料)青だけあったな……と、水性クリアーに混ぜて塗布。ザラリといい感じに。艦底部は本に「牡蠣が付着して」とあったので白っぽく塗装してまた岩絵の具だ、と画材屋行ったら「胡粉(ごふん)」という「牡蠣殻を砕いて作った白い顔料」なんてものがあっておお、ピッタリ。クリアーに胡粉多めに混ぜてザラリ感アップ。

 海中を漂流しているディスプレイ、透明プラ板などを熱加工して、とか考えましたが、うまく表現できなさそうで結局普通に黒御影石と真鍮棒。ただ石の存在感がありすぎなので岩絵の具紺青クリアー塗布で調子を揃えました(きれいだな)。「大和」じゃないのだ、とだめ押しに飾り台のネームプレートも接着。
 小説やプラモが出ていた5~60年前、さらに武蔵が建造されてた8~90年前に時間旅行できる戦艦武蔵本とキット。「戦艦はどうもなあ」という方もぜひこの二冊を読んで武蔵デビューしてください。どんな色でも、イメージしたとおりならそれはあなたの正解!

馬渕 洋
馬渕 洋

52歳。年長フリーター、彫刻家、特殊工作人、BQ artist、邪道書家、から好きなものをお選び下さい。

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