

「1960年代半ばのイタリア。場所はどこでもよい。」
この書き出しで始まるタミヤの名文と共に、今週の花金プラモは幕を開けます。エンジンが組みたくなる。「音」を感じたくなる。プラモとプラモの解説文が見事にマリアージュする体感。最高の花金プラモがやってきました。

週末の模型ライフが楽しくなるプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けするのが本コーナー。今週はタミヤより発売となった「フィアット アバルト 695 SS」をご紹介します。
タミヤのプラモデルの説明書には必ずその実車や実機の解説文が記載されています。これを読むことで、「デザインかっこいいな〜」とジャケ買い的に思っても安心で、プラモになっている実機・実車のことがある程度理解できるようになります。そういう解説文の中には、多くの模型ファンの心に刺さっている名文があるのです。この「フィアット アバルト 695 SS」もまさにそれ。買ってきて箱を開け、解説文を読むだけで、「プラモ文化って楽しいな〜」って思えます。

まさにこのプラモは「音」の模型です。イタリア国民にとっての「車の音」について、見事な文章が綴られます。そんな文章を読むと、車の音を発する根源、パワーの源である「エンジン」にも興味が湧いてきます。フィアットの可愛い外見の中にある「アバルト」要素への道が開けるのです。

先に発売されたフィアット 500Fは、イアタリア人の心を掴み国民車となりました。そしてこの車でさらに速く走りたい人、レース入門を目指す人々のために、パワーアップのためのキットとそれを取り込んだ車を発売したのが「アバルト」でした。このフィアット アバルト 695は、フィアット 500をベースとしたロードカーとしては最も高性能だったと言われています。
フィアット 500が「空き缶が潰れる時のようなクシャクシャというスターター音」「バタタタッというのどかなエンジン音」というのに比べ、フィアット アバルト 695は「クォーン」と言う排気音を奏でたそうです。そしてそれは効率の良いアバルト特製のマフラーによるものだったとか……。そんな話を読むと、全ての内部パーツが愛おしく感じます。

本キット専用のエキゾーストパイプを貼っている時のワクワク感。フィアット 500と姿はほぼ同じでも、中身は別物。「クォーン」という音はどんな感じなのかな〜と、思いも巡ります。

上がフィアット 500のパーツで、下がフィアット アバルト 695SSのパーツ。こうやって並べると全くの別物です。大径2連メーターを配置したインパネや小径ステアリング、そしてバケットシートなど室内も見応えあるものになります。2台作り比べも大いに楽しめます。

アバルトといえばの蠍のマークも新規デカールで印刷されています。さらに塗装時に窓を保護するマスクシートもセットされるので、塗装する際も快適。
説明書の名文を味わい、フィアットの「音の話」に導かれながらプラモを組む。そんな贅沢な週末をこのプラモデルは届けてくれます。ぜひ今週末は「タミヤ フィアット アバルト 695 SS」をお楽しみください。