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最後にイチゴが待っている、高速戦闘支援艦のプラモデル/ピットロード USS サクラメント

 ひと目見たときからずーっと欲しくてたまらなかった船の模型が組み上がりましたので見せます。ピットロードの「USS サクラメント」です。強そうな主砲も巨大なフェイズドアレイレーダーもミサイルの垂直発射システムも装備していないこのフネは、「高速戦闘支援艦」に分類されます。”こうそくせんとうしえんかん”ですよ。何度も声に出して読みたい日本語じゃありませんか。かっこよすぎる。戦うフネがムサイなら、こいつはさしづめパプアとかパゾクですよ。ガンダムに例えると一気にわかりやすいね。

 空母打撃群が戦闘海域で作戦任務を始めると、たちまち食料や燃料や弾薬が尽きてしまいます。作戦を続行しながら補給を受けたいけど、無防備な状態でじっと止まっていたら危ないので、戦闘海域から一旦離れたところで航走しながら食料や燃料や弾薬を受け取りたい。昔は食料を補給するフネ、燃料を補給するフネ、弾薬を補給するフネがそれぞれ近づいて荷物を受け渡していたのですが、それだと時間がかかってしょうがない。よし、まとめて一気に受け渡そうじゃないか。

 そうなると補給する側もずんぐりむっくりなカタチをした輸送艦では間に合わず、専用に設計された「素早く、巨大で、洋上でワイヤーやホースを相手のフネと繋いで荷物をガンガン送り込むフネ」が必要になるわけです。これが高速戦闘支援艦。「洋上のスーパーマーケット」という異名を聞くとなんかムラムラしてきませんか。作りたくなってきたでしょ。やっぱ戦争を理解するなら兵站なんですよ兵站。

 ところがこれがめちゃくちゃ難しいプラモデルで、細長い船体の上に板を何枚も組み合わせて上部の構造物を建造し、その上に小さい補給用設備をシコシコ植えていくというこまかい工程が延々続きます。板の内部にはケタもなにもないので、ただひたすらパーツの水平垂直に気を使いながら、「ちゃんと箱状に組めるかな……」と調整を繰り返してちょっとずつ進むしかありません。こういう人気があんまりなさそうなフネほど「うわー、組んだら楽しいじゃん!」という体験を用意してほしかったなぁと思うのですが、逆に開発にあんまりコストがかけられないのもわかる。悩ましいところです。

 毎日毎日ちょっとずつ、いくつかのパーツをピンセットで貼っては「ふぅ〜」と息をついて数週間。ようやく全体のカタチが見えてきました。そこにあるのは達成感というよりも「やっと終わるぞ……」というちょっとしんどい感覚だったのですが、最後の最後に奇妙なカタチのパーツが余ります。何だこれは。「説明書の最後の最後に、いったい何をさせるつもりなんだろう?」と思いながらごく小さなパーツを貼り合わせてびっくり。これ、フォークリフトじゃないっすか!

 ピンセットの先でつまめるほどのフォークリフトは2パーツ構成。延々フネを組んできて、あーでもないこーでもないと試行錯誤して、ちょっと設計が不親切じゃありませんか(いやパーツの精度じたいは充分にいいんだけどもさ!)とか思いながらようやくゴールが見えてきて、最後の最後にかわいい4輪のメカが登場するなんて、これこそショートケーキのイチゴ、コーンスープの最後の一粒じゃありませんか。

 後部甲板にちょこんとフォークリフトを置いたら、本当に本当にゴール。ここまでのジリジリした空気が一気に晴れて、なんだかとっても清々しい気分に。ああ人間って単純。あ、主語が大きいですね。オレって単純。「簡単ですよ!みんなにもオススメですよ!」とは言いませんけども、切って貼ればそこには高速戦闘支援艦。空母の横に、イージス艦の横に。三河屋さんのようにサッと駆けつける、海の頼れるアニキをもっと多くのひとに作って味わってもらいたいのです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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