

パッケージに描かれた山下しゅんや先生オリジナルキャラ、バーニーが塗料とエアブラシを持っています。塗装を楽しんでちょうだいね、というメッセージが発せられている……!いやその、プラモデルは塗らんでいいように作られているものもあり、塗ったほうが楽しいものもあり、塗らんでいいのを塗っても、塗ったほうが楽しいものをあえて塗らずに組んでも、自分がそれを楽しいと思えるのならその意味においては自由ですね。誰かに塗れとか塗るなとか決められる筋合いはございません。しかしこの娘は確実に塗装を楽しんでいる顔です。塗られるのはキミだ!

そもそもこのプラモデルはもともとパーツごとに色がついていて、「組んだだけでもだいたいイラストに近い色分けされている」という構成で発売されたものに対し、あえて全部のパーツをペールオレンジに統一した仕様です。最初から色がついてると「塗らなくてもけっこう嬉しい」という見た目になるんですけど、裏返せば(最初から色が付いてると)わざわざ自分で塗ろうとするにはけっこうな決意が必要」ということでもあります。
ロボットモデルでも「最初から青いパーツ」を自分で青く塗ったり(ましてその前に下地塗料として薄いグレーを吹き付けたり!)、あるいは他の色に塗り変える……というのは模型を作っている人にとって”フツウのこと”なのかもしれないけど、そうじゃない人にとっては「えー、最初から色が付いてるならそれでいいいじゃん」と捉えられる特殊な行為なんじゃないっすかね、とも思うわけです。

このキットが全部肌色パーツなのは、商品名にも”メイクアップエディション”とあるとおり、「色がついていないなら自分で塗ってみようぜ!」という提案なんですね。説明書を開くとシタデルカラー(発色良好で筆塗りに適した水性塗料)を使ったヒントが写真とともに解説されています。スマホアプリも併用すれば好みの色を探せるし、陰影を自然に演出する色の組み合わせなんかもスマートに選べます。

無地の上にマイオリジナルな色を塗るって、けっこう怖い。ファッションセンス、色彩感覚、流行りとか差し色とか、足がすくんでしまうのは私も同じです。しかし説明書には贅沢にも山下しゅんや先生が提案する9種類のカラーパターンが印刷されています。このまま塗ったら「塗装図どおりに塗ったぞ」に近い感覚でしょうし、このパターンを観察して「色の面積の配分」「布地の裏表で切り替わる色」「縫い目以外のところに切り替えが来ると良い場所」なんかを取り入れれば自分なりのメイクアップが楽しめるはずです(そうそう、カラーパターンの横には塗り絵用の線画も付いているから、そこで試し塗りだってできます)。

「で、どう塗るの?」と思ったら、まずは筆を握りましょう。塗料を掬って、表面にぺたりと置きましょう。相手はプラスチックパーツでも柔らかな布の形を模したものですから、多少のムラは気にしなくてOK。ここから先は、完全にあなたの世界、あなたの自由なイマジネーションの楽園です。幸いにして、「もともと色分け済みのプラモデル」ですから、ユニットごとに塗り分ければマスキングだって必要ありません。各パーツを好きに塗ってから最後に接着するという方式でもだいぶオシャレな仕上がりになります。

こんな感じに仕上げたいな、と思いついてから3時間。パーツを切って塗装して(肌の部分はプラスチックのまま)、最後にガシガシっと接着して生まれたのがこのバーニー。たぶん世界にひとりの、自分だけのカラーリングです。色の組み合わせは手元にあったポルシェと同じコーディネート。バッチリ似合って、ああよかった。
プラモデルは誰が作っても同じものができるように設計されているけど、しかし誰もがまったく同じように作れるわけじゃないし、狙って違う見た目に作り上げられる。そのなかでもいちばんおもしろい「塗装」という遊び方にフォーカスし、それを優しく後押ししてくれるメイクアップエディション。いまこそ、あなただけのフィギュアを作り上げてください。みなさんも、ぜひ。