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その存在がどこまでも平和なプラモデル/ゲッコーモデルの牛車でGO!

 プラモに入ってて嬉しい彫刻ランキング、1位は木目だと思うんですよね。これはベトナムの農民が牛車で何らかの穀物を運搬しているところのプラモデルです。ゲッコーモデルという香港のメーカーから発売されています。1/35スケールなので「戦車と組み合わせるのか〜」と思う人がいるかもしれませんが別に戦車と組み合わせる必要はないし、机の上に牛車があったら面白いでしょう。別に何がどんな大きさでプラモデルになっても言いんですよ。遊ぶのは買った人なんだし。

 木製車輪は同じパーツがふたつ入っていて、ここにも木目が入っているのが最高。スポークやハブの造形もかなりいいですね。せっかくの収穫物が道にボトボト落ちてしまわないよう設けられた柵も左右にあるから、車輪と同様同じものがふたつ用意されています。プラモデルって、左右で同じものは金型をひとつ用意して2回射出すればいい……というのが面白いんですよね。

 2頭立ての牛車ですから、牛も2頭。これまた全く同じ形のものが2枚入っています。潔い左右分割、位置決めをするための目印はないけど、牛の形はみんな知ってるでしょう。牛の形に見えるように貼り合わせればOK。牛Aと牛Bにそれぞれ個性を持たせたければ、違う色、違う模様に塗ればいいっすね。

 牛車の前後に乗るふたり。立って後部に乗る女性としゃがんで前に乗る男性がそれぞれ立体化されてて、これまた素直に胴体と四肢で分割されています。キレのあるハメ合わせでカチッと組めるプラモデルではありませんから、いい感じのポーズになるまでじっくりと対話しながら貼りましょう。

 これはいまから12年前、ミャンマーの地方都市ですれ違った牛車。朝の光の中、比較的痩せた2頭の白い牛が静かにトコトコと歩いていくのが印象的でした。ツノが尖っていると危ないから、先端は丸めてありますね。プラモデルきっかけで思い出す旅、けっこうエモいものです。こんな長閑な風景を手のひらに呼び出すために、世の中にはもっといろいろなものをモチーフにしたプラモデルが増えればいいなと願うのです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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