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ハセガワ新作プラモデル、クァドラン・ローは「パーツの裏側」に最高が詰まりまくっています!

 ピッタリ合って、合わせ目がキレイ。さらに持ったときにガッチリとした剛性感がある。とても重要なことがこのプラモデルでは高次元に実現しています。なぜそれが可能になったのか……を観察していると、ふたつのポイントに気がついたのでそれを書きます。ひとつは「パーツのフチに凹凸システム」、もうひとつはハセガワがキャラクターモデルで長らくこだわってきた「アンダーゲート」をあえて使わなかったことにあります。

 1/72スケール、全高259mmという巨躯で年末の日本列島を笑顔にしているハセガワのクァドラン・ロー。細かいスジ彫りとか複雑なギミックとか大量のユニットで放射状に拡がるシルエットを作るのが現代のロボット(のプラモデル)におけるデザイントレンドなのに対し、クァドラン・ローはひとつひとつが巨大なユニットの組み合わせで、シンプルな構成と艶めかしいアウトラインの組み合わせでキャラクターを作り上げるearly ’80sメカデザインを体現するような存在です。どう見ても異星のヤバいメカなのがいい。好きです。

 クァドラン・ローのデザインをほぼストレートに立体化すると、パーツのひとつひとつも巨大になります。飛行機が大きい模型になったからってパネルラインが増えたりユニットが増えたりはしないのと同じように、ロボットだって「少ない線のままどーんと大きくなっているのが正しい!」という態度に思わずスタンディングオベーション。この豪快さは「簡単」とか「初心者向け」とは全然違うベクトルなわけで、ハセガワならではの実直さで正しくロボットと向き合った証拠だと私は思います。

 でっかくて薄いパーツ同士をガポッとふたつ合わせたときに剛性不足でふにゃふにゃした印象にならないよう内部には頑丈な桁となるパーツが用意されています。さらに重要なのが、合わせ目に来るパーツの端面同士がビシッとツライチになるよう端面にごくわずかな凹凸を立ててお互いがズレないよう噛み合う設計になっていることです。この詳細については以前ホビーショーにて取材した話を書いているので読んでください。

 発売前はパーツを見ただけで「へぇ〜」なんて言ってたのですが、実際に組んで仰天。これが非常にうまく機能しています。パーツの合わせ目に来る小さな突起や板状の凸部が反対側に設けられた凹みに収まり、たしかにパーツ同士がワギワギと軋んだりズレたりせずピタッと合わさるのです。そのおかげでパーツ全体の剛性感がより向上していて、組んでいるときに「心強さ」を覚えるほど。これはマジで組んだ人にしかわからないのでぜひ体験して下さい。

 じつはこのプラモデル、ごく一部を除いてアンダーゲート(パーツの表面ではなく端面にゲートを設け、完成後にパーツを切った痕を見せないようにする方法)が使われていません。アンダーゲートは原理上パーツ表面に切断痕が残らないのですが、パーツを切り離すときにニッパーを最低2度入れなければならず、さらに切った跡を徹底的に平滑に処理しないとパーツの合わせ目が完全に閉じない(反対に、切断痕を削りすぎると合わせ目に凹みができてしまう……)という欠点があります。

 従来のハセガワのキャラクターモデルではアンダーゲートが多用され、「切って組むだけ、表面キレイ」にこだわっているように見受けられましたが、本作では大部分に通常のプラモデルで多く見られるサイドゲート(パーツ表面の端にゲートを設ける方法)を採用しています。これは「特別な処理をしなくてもパーツ同士がピッタリと合う」ということにステータスを振り、パーツ表面に出る切断痕はヤスリでキレイにすればOKだという判断方針なのでしょう。

 どちらの方式にもメリット/デメリットはあるのですが、大きいユニットが気持ちよく頑丈に組み上がっていく体験を設計する上ではものすごく正しい判断だと感じました。いやぁ、組んでいてとても楽しいプラモデルです。みなさんも、ぜひ!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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