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初公開のハセガワ最新作、クァドラン・ローの設計にシビレた話。

 ハセガワからクァドラン・ローが発売されます。しかも1/72スケールです。唯一発売されていたプラモデルは1/144スケールなので、その倍の大きさ……と言ってもプラモデルは体積で見るもんですから、実際どれくらい大きいのかわからない。ただいま開催中の全日本模型ホビーショーでサンプルを見てきました。

 デカい!前高259mm。しかも人間のカタチとは大きく違うフォルムのロボットなのでやたらとボリューム感があります。これがスナップフィットで色分け済みのプラモデルだというのだからビビります。
 で、この上手い造形ですよ。組んでないから組み心地についてはまだわかりませんが、どっしりとしたフォルム、なめらかな曲面はとてもいい感じに捉えられています。

 3D造形には大まかに2種類あり、輪郭線と断面形で物体を描いていく方法と、粘土を盛り削りするように作り上げていく方法があります。こういう曲面だらけの物体は輪郭が良くても断面形の変化を直感的に把握しづらいので、粘土を盛り削りするように作るのに向いています。しかし、ハセガワのスタッフによれば「飛行機と同じように、いきなりCAD(=輪郭と断面形でカタチを描く方法)で作りました」とのこと(仰天)。線と線を繋ぐとどんな面が出てくるのかを想像しながらこれを作るのはめちゃくちゃ難しそうですが、案の定「このパーツはなかなかイメージ通りのカタチにならなくて、8回作り直しました」「これは6回くらい作ったかな……」と苦労の連続だった模様。

 おもしろかったのは、「ハセガワが最近手掛けたザブングルやアイアン・ギアーとは全く違って、クァドラン・ローにはこれまで作ってきた実在のステルス戦闘機の設計と共通する感触があった」という設計スタッフの発言です。現代のステルス戦闘機はうねうねした曲面の連続で、そのプラモデルを設計するには複雑に変化する断面形を正確に推測しながらキレイに繋いでいくスキルが必要。これはもう経験とカンによるところが大きいのですが、このうねうねしたクァドラン・ローにそれが応用できたというのが「イイ話」だと感じました。

 これだけ大きなプラモデルだとふたつ合わせにした外皮がワギワギする(微妙に歪んでカチッとした感じにならないことを指す)のが心配ですが、腕や脚の内部には黒い板状のパーツを挟み込んで桁がわりとし、完成後の剛性感を増す工夫がされています。さらによく見ると、上の辺には等間隔に小さな丸い凹みが設けられていますが、これは……?

 外装パーツの端面に設けられた小さな丸い突起と噛み合うことで、グッと力を入れてはめ込んでも外装のフチがグラグラ動かないようにする工夫なんだとか!外装同士が接触する端面には凹凸の細長い彫刻を入れることで、これもお互いが噛み合って突き合わせた部分がズレないよう工夫されています。キャラクターモデルではあまり見ない処理なので、これがどれくらい機能するかを体感するのが楽しみ!

 かわいいミリアも入って出撃準備中のハセガワ製クァドラン・ロー。同社のキャラクターモデルは変化と進化の連続ですが、フォルム、組みやすさ、大きさに負けない完成後のガッシリ感も含めて期待大のアイテムです。発売は12月アタマですので、いまのうちにポチッと予約しちゃいましょう。そんじゃまた!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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