

とにかくひとつひとつのパーツがデカくてド迫力。当然組みて立てれば前高27cmという巨大なガンバスターが手に入ります。とくにこのランナーが最高ですね。左右に位置する肩アーマーはスライド金型というテクニックでパーツ数を減らしながら表面のディテールも再現しています。肩アーマー下に伸びる薄い羽根も2枚が一体になった状態でパーツ化されているので接着回数が少なくなり、それぞれの角度もビシッと決まるという気配りが良い!

ガンバスターは全体のシルエットで魅せるロボなので、緻密なディテールとか複雑な外装の分割といった現代的なロボットプラモの情報量付加に頼れません。しかし関節のある部位には柔らか素材によるシーリングの表現が入っていて、その質感がまた良い。関節がシーリングで覆われたロボットはたくさんありますが、可動プラモにすると「実際に動く関節を軟質素材で包む」とか「軟質素材を模した形状の関節ブロックをぶった切って動かす」という方法を取るほかありません。本作はポーズ固定のプラモデルだからこそ、造形の旨味をストレートに味わえるのです。

本アイテムは1991年に伝説の造形師である佐藤“ロボ師”拓氏による原型で発売されたソフビキットを3Dスキャンしてからデジタル造形でリファインしたもの。単純に見える腕や足の円筒部は3D造形ソフトを使えば簡単に作れそうなもんですが、プラスチックパーツでも佐藤氏の遺した微妙なニュアンスが感じられるよう注意深く”リマスター”したものになっています。デジタルツールが介在するから味気ないとか、温もりがない……なんていう感覚は時代遅れなのであります。
近年では模型メーカー各社がデジタルツールで飛躍的にプラモデル造形の表現力を増していますが、海洋堂が過去のレガシーをいかにしてそのままの味わいでプラモデル化しているのかについては『CG WORLD』の最新号に詳しいのでぜひ読みましょう。CGの知識ゼロでもだいぶ読めます。そして海洋堂以外のメーカーがどんなことをしているかを想像するヒントにもなるので、ぜひ。

”ARTPLA SCULPTURE WORKS ガンバスター・タカヤノリコ・アマノカズミ「太陽系絶対防衛戦」”というタイトルのとおり、パッケージにはノリコとカズミ(だいたい1/24スケールくらいかな?)も入っています。肌色のパーツは巧みに分割されており、フェイスパーツには目があらかじめ印刷されているのでデカール貼りが苦手な人も安心。

相変わらずギチギチに情報の詰め込まれた説明書には懇切丁寧な塗装図も収録。ガンプラのように「パーツごとに塗ってから組み合わせる」という分割ではないのですが、比較的かんたんに塗り分けられるよう配慮されたディテールやパーツ分けになっています。
’90年代初期の傑作造形(でもガレージキットという形態ゆえに誰もが気軽に手に入れられ、簡単に組めるものではなかった……)がビッグサイズで手に入り、ニッパーと接着剤さえあれば組み立てられる。なんと民主的なことでしょうか。冬はビッグサイズプラモの季節。ぜひとも軽率に貼り、豊かな気持ちで塗りましょう。そんじゃまた。