

今時のロボットのプラモデルといえば、いろいろな色のパーツによって塗装しなくても設定通りの色分けが楽しめ、接着剤を使わずに組み立てられ、完成すれば全身のあらゆる関節が可動するもの……というのが常識だと思います。しかし、この常識の完全に逆をいくキットが、マックスファクトリーから発売されています。

今回紹介する「PLAMAX MF-64 minimum factory ガンバスター スーパーイナズマキック/RX-7 イナズマキック エフェクトカラーVer./バスターマシンカラーVer.」は、キット名の通り『トップをねらえ!』に登場する主役メカのガンバスター、ならびにマシーン兵器のRX-7を題材としたプラモデルです。
前述のように、このキットの特徴は現代のロボットプラモデルの常識とは逆の内容になっていること。すなわち、パーツは単色のプラスチックで成形され、組み立てには接着剤が必要であり、完成してもどこも動かない……というプラモデルなのです。そんなもん組んで面白いの……と思いますが、現代のプラモデルの常識の逆をいくことで、唯一無二の楽しさを生み出すことに成功しているのです。

箱を開けてみれば、目に飛び込んでくるのは潔いまでに単色のランナー4枚。ガンバスターとRX-7でそれぞれ2枚ずつというパーツ配置になっており、エフェクトカラーVer.ではイナズマキック炸裂時のエフェクトをイメージした色、バスターマシンカラーでは劇中の色彩設定をイメージした色で成形されています。




まずこのキット、箱を開けたままの状態で見てもけっこう面白い。パーツだけを見ても「ここは胴体かな?」「脚と膝かな?」みたいな見分けはつくのですが、例えばガンバスターの胴体っぽい部品が3つも入っていたりします。普通のロボットのプラモデルであれば、例えば前後1面ずつで胴体を分割したりしますが、3つというのはどうもよくわからない。




そんな謎に満ちたパーツの群れが、パズルのようにかっちりとはまり、接着剤の力でスピーディーにガンバスターやRX-7の形が組み上がっていく様子は、なかなかスリリングです。ちなみに、組み立ての際にはGSIクレオスの接着剤である「Mr.セメントS」を使うのがオススメ。パーツを組み合わせた隙間にキャップの裏の細い筆でさっと接着剤を流し、そのまま固定できる流し込み接着剤です。

GSIクレオスの流し込み接着剤には、さらに硬化が早く強力に接着できる「Mr.セメントSP」というものもありますが、こちらはとにかく硬化が早いため、位置決めなどのタイミングがちょっとタイト。パーツのはめ合わせを味わいながらじっくり組み立てるのには、セメントSのちょっとだけゆっくりめな硬化速度の方がマッチします。

完成してみれば、そこに出現するのは躍動的なポーズが決まったガンバスターとRX-7の姿です。可動するロボットプラモには不可能な角度で曲げられた膝や胴体、大きく表情がつけられた肩の角度などを見れば、「いろいろなポーズをつけられる」というアドバンテージを捨ててまでこのキットが表現したかったものが見えてくるような気がします。




そもそも『トップをねらえ!』という作品の魅力は、緻密な設定に支えられたメカが、アニメにしか表現不可能な大胆でド派手なアクションを決める点にもあります。その魅力を伝えるためには、プラモデルに搭載できる関節の仕組みやサイズといった制約に縛られる可動モデルではなく、あえて躍動的なポーズで固定するという選択肢も当然あっていいはず。
広い可動範囲を使って自由にポーズをつけられるというアプローチ以外からも、「作品内でロボットが輝いた一瞬を捉え、その魅力を表現する」という目的は達成できる。このガンバスターとRX-7のキットは、その事実を訴えているようです。


無論、このキットはプラスチック製なので模型用塗料を使って塗装することもできます。単色でそのまま立たせているより色が塗ってあった方が見映えもしますし、丁寧に塗り分けてキットを楽しむのもオススメです。が、この固定ポーズのキット群は、あえて色を塗らずにたくさん並べても充実感があります。深い彫刻の陰影とポーズの派手さ、そして幅広い成形色そのものが情報量となり、視覚的な面白みを生み出しているのです。
このキットは色分けもされていないし、動かないし、組み立てには接着剤も必要です。それは間違いありませんが、ただこの記事で見てきたように、単色の成形も固定ポーズも接着剤の使用も、このプラモデルを組み立てて遊ぶ上でのスパイスとなり、より面白みを増していることがわかります。「色分けされておらず、関節も動かないロボットのプラモデル」という表現形態には、まだまだ未開拓の面白さが隠れているのではないだろうか……。そんな気持ちにさせられるプラモデルです。