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モチーフとプラモデルの歴史を地層のように積み重ね、円熟した佇まいが嬉しいボークスの1:100シュペルター、ついに発売です。

 4月26日に発売されたIMSシリーズ最新作、1/100 シュペルター・K.O.G.=ボォス 2992= with ベイルを組み上げました。原点となる初版は2011年発売の「シュペルター・K.O.G」となりますが、もはやまったくの別物と言っていい内容になっています。頭部や脚部の構成は刷新され、肩アーマーの追加、パーツごとの塗装を前提とした分割など、シリーズを重ねる中で細かく改修されてきた結果、同じ名前でも完成後の印象は大きく変わっています。L.E.D.ミラージュやK.O.G.など、ファイブスター物語を代表するMHたちから受け継がれてきた意匠を踏襲しつつ、このキットには最新のIMSシリーズらしい整理された構造と工作性が備わっています。

 ランナーから見えてくるのは、全体にわたるカーブの魅力的な佇まい。モーターヘッド好きならば見慣れた形状があちこちにあり、シルエットにもディテールにも、L.E.D.ミラージュやK.O.G.との関連性を感じさせるところがたくさんあります。それらを追っていくと、IMSのなかでの造形の連続性も実感できるはずです。

 頭部はパーツ数が多く、組んでいく過程で徐々に立体になっていく工程が印象に残ります。構造自体は素直に設計されていて、最後に胴体に取り付けたときのバランスも安定しているのが好印象。全体的に大型ながら、パーツの噛み合わせや重量の配分がうまく、ディスプレイ時の姿勢もどっしりと安心感があります。肩アーマーも新規設計となっており、初めて組むユーザーでもスムーズに組み立てや塗装が整理できるようになっているのが嬉しいポイント。

 脚部の構造は膝・脛まわりのアーマーが変更されており、スネの塗り分けを意識した構成になっているのが特徴です。本作最大の特徴でもある「透けない白のプラスチックで成形されたベイル」は、血の十字架がクリアーレッドのパーツになっているため、そのまま透明感を活かして仕上げてもカッコいいし、スネ部分の塗装とソリッドカラーで揃えるといった処理も選択できます。

 可動については派手なギミックこそありませんが、前部と左右の腰アーマーは跳ね上がる構造になっており、脚を前に出す際に干渉しないようになっています。反面、後部アーマーは可動ギミックがなく、前後左右からぐるぐると眺めて対称に気をつけながら「ココ!」という角度でガッチリと接着することをオススメします。IMSシリーズでも徐々に存在感を増してきた「ABSOMEC」や固定式股関節などの補助的な機構は実装されていないので、ポージングの安定性を求めるユーザーはある程度の加工や工夫で乗り切りましょう!

 ベイル先端のクワガタのようなクロー部分も、説明書の指示に従って小加工をすれば可動が仕込める構造になっていて、固定状態で組んでも自然な角度が出るのが気持ちいい。こういうアップデートが随所に盛り込まれ、地層のように重なりながら「同じモチーフの仕様違い」でも少しずつ進化していくのがIMSの歴史そのもの……と言えるかもしれません。

 ミラージュナンバーをはじめとしたデカールは豊富に用意されており、頭部や肩に差し色となる赤が入ることで見た目の密度感もアップします。5色成型(ホワイト、グレー、ガンメタル、ゴールド、ダークグレー)のプラスチックは組んだだけでもじゅうぶん見栄えのするものですが、スネの赤やゴールドの部分部分を塗装することで情報量は大きく変化し、白やメカ色を加えると印象が引き締まるはずです。シュペルター、塗装による完成度の伸びしろがとても大きく、好みに応じたカスタムがしやすいデザインなんだなぁ……と改めて感心。

 総じて、シュペルターというキットは、IMSの中でも構造・表現ともに長期的な変化を積み重ねてきたモデルであることを存分に実感できるアイテムです。シリーズ内における他のMHたちとの意匠的な共通点を読み取りながら、変化した構造を追体験するという点において、現在のIMSラインナップのなかでもとくに“いまのキット”としての完成度が高い。ガレージキットを思わせるボリュームと密度を持ちつつ、組みやすさと仕上げの自由度を兼ね備えた、現行IMSの代表的なモデルとしてオススメの一作であります!

けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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