

この日は仕事終わりにバスに乗って目的地に向かうという、自分としては珍しい日だった。バスが来たので乗車してしばらく経つと、お年寄りの二人組が乗って来た。二人ともとにかくよく話す。「元気だな」と横目に見ていると、ふと『映像研には手を出すな!』のアニメ版のワンシーンを思い出した。登場人物の一人である水崎ツバメがおばあちゃんの歩行を手伝うシーンで、重心を左右に振ることで足が連動して動くので、筋力に頼らずに歩けるというものだ。

タミヤの「重心移動歩行ロボット」は足に動力が仕込まれていなくて、わずかに前後にスイングするのみ。モーターやギア、電池が仕込まれたブロックが左右に動くことで、足が勝手に前に出てノソノソと進んでいく。不思議な動きをするロボは、『映像研には手を出すな!』で描かれている筋力に頼らない歩行方法が確かなものであると目の前で私に教えてくれた。
プラモデルとしては歯車、ネジという機械っぽいパーツを使うのがいつもと違って新鮮だ。強度が必要なところはしっかりとねじ止めするという作業工程に込められた思想が日常における家具や機械の組み立てと同じで面白い。配線も簡単ではあるが自分でやるので、綺麗に結束したり、巻きつけたりするのが楽しい。組み立て自体はとても簡単だが、プラスドライバーはちゃんとしたものがあると格段に作りやすくなるし、歯車などの稼働する部分に塗布するグリスはつまようじを使うとうまく塗れる。

いざ組み立てて動かして見ると真っ直ぐ進まない場合もある。その場合は脚の外側にあるパーツの高さを調整することで修正できて、その微調整の時間が意外と楽しいというか、この時点で既にロボに愛着が湧いているので「ちゃんと歩けるようにしてあげたい」という気持ちが自然と調整作業をこだわりを持って取り組むようになってしまう。
老人たちより先にバスを降りてしまったので二人がどういう歩き方をしているかはわからなかったが、しかしあれだけ元気に喋ることができたらさぞしっかりと自分の身体に合わせた歩き方で歩いて目的地へ向かっただろう。