アニメじゃない、本物のロボさ。現実なのさ、プラモが無いのさ。/僕がホンダ ASIMOを欲しがる理由

 2022年3月一杯でホンダの2足歩行ロボット「ASIMO」の運用が終了しちゃいました。ロボット技術開発自体は継続すると発表されましたが「ASIMO」に至るまでの一大プロジェクトはここで一つの時代が終わったと言えます。

 今回はそんなこんなにかこつけて「実在するロボットのプラモデル」のことをちょっと振り返りたいんですよね。

 ASIMOにつながるプロジェクトは1996年に「P2」で初めて広く公開されました。ウェーブ社がプラモデル化を決めて、世界初の「実在する二足歩行ロボットのプラモデル」となります。この頃の同社のプラモデルは価格も仕様もバンダイのガンプラに追いつけ追い越せといった気概にあふれたもので、このP2も接着剤不要、多色成形、フル可動、¥1500(当時)という意欲的なものでした。

▲実物が絶対にしないポーズで遊べる。

 当時ガレージキットを仕入れるようなお店での取り扱いが中心だったウェーブ社の製品でしたが、このキットはプラモデルを扱うデパートのおもちゃ売り場にも並ぶほどのポピュラリティを得ます。

 そのP2の成功を受けて後継機であるP3もすぐプラモデルになります。接着剤不要、多色成形、フル可動という意欲的な仕様は引き継いで、より小型化し、より人間に近づいたシルエットを見事に再現しました。

 しかしこの話題のロボットの後継機には予想だにしなかった結果が待っていました。P3は予定調和の後継機と評価されて期待されたような注目を浴びなかったのです。同じようにプラモデルも発売時に「注目の新製品」としてメディアやユーザーに触れられる程度で、P2のように棚に大量に並ぶことはありませんでした。

 ロボット大好きオタクでさえ「人型ロボットなんてフィクションの世界の話、実現を期待するのはロマンチスト」と嘯いていた時代に、後頭部を鈍器で殴られるようなショックを与えることができたのは最初のP2だけだったのです。

 上半身まで含めた人型2足歩行ロボットの祖となったホンダのPシリーズはこの後P4までナンバリングを重ね、ASIMOとして結実します。NHKがレンタル契約を結んだのをはじめ、科学未来館、ホンダのウエルカムプラザ青山で定期的に動く姿を展示する「人型自律2足歩行ロボットの営業運転」を実現してみせました。

 そしてASIMOはTVのニュースをにぎわせ、ホンダのイメージCMには必ず登場するテクノロジーの象徴となっていくのですが、冒頭で紹介したとおり、ASIMOは先日その「営業運転」をひっそりと終えました。しかし、2000年に登場してからじつに22年の活動期間中、このマシンがプラモデル化されることはついに無かったのです。

▲スナップフィット、多色成型、フル可動に加え、表情違いの顔を用意しガールズプラモの仕様も満たして(?)いる。

 ではその後、ウェーブ社が現実の2足歩行ロボットのプラモデル化に興味が無くなったのかというと、どうやらそうではなく、2013年に「1/12サイバネティックヒューマン HRP-4C 未夢」(読みは「ミーム」。独立行政法人 産業技術総合研究所が開発した歴史的ロボット)を発売しています。「女性型ロボット」ということで話題になった存在です。

 顔の表情を介したインタラクションのために実装された生々しい頭部もあって、「20世紀に考えた21世紀」っぽささえ感じられるのでSF者はみんな買うべき。SFじゃなくて現実なのだけど……。

 実機のメーカーは違うけどASIMOの妹だなコレは……などと思います。お兄ちゃんのプラモもお願いします。

 今回紹介したプラモたちは3体とも長いこと再販されていないものですが、どれも佳作なので手にできる機会があったら組むべきアイテムです。こうして並べてみると「どうしてASIMOがないんだろう!」と地団駄を踏んでしまうのだけど、往々にしてこういう「出ると思っていたものが出ない理由」って単なる偶然だったりすることも多々あるので変に邪推したりせず、あきらめず、事あるごとに地道にリクエストを出していこうと思います。

 パフォーマンスのように嘆いてばかりじゃプラモは出ない。少なくともこの3体は発売された実績があるんだし。最近は「〇〇年前のアニメから初キット化!」とか、「往年の名車がついにプラモデル化!」とか結構あるし、今年はホビーショーの一般公開も再開してリクエストできる機会も増えてきたしね!

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HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。