

アニメ、ゲーム、プラモデルのクロスプラットフォームで展開する作品『シンデュアリティ』のノワールというキャラクターがプラモデルになった。ハコを開けていちばん気になったのが、この黒いランナー。大ぶりな黒いジャケットを構成するパーツだ。布のシワ、ベルトのディテール。そして分割された袖口。組やすさと可動域を確保するために細身でシンプルな素体を作り、そこに派手な装備を取り付ける美少女プラモのセオリーから外れた、「動きづらそうな服のパーツ」こそがこのプラモデルとノワールを象徴している。

ノワールはメイガスと呼ばれる人類双対思考型AI搭載ヒューマノイドで、見た目は人間そっくり。クレイドルコフィンと呼ばれる二足歩行メカはメイガスと人間が一緒に登場することで所定の性能を発揮する。男女がニコイチでロボットを操る演出は『ファイブスター物語』を始め、『交響詩篇エウレカセブン』や『ダーリン・イン・ザ・フランキス』なんかを想起させるが、おっとりした仕草と彩度の低いキャラクターデザインが今風だなと感じる。

素体のパーツで特筆すべきは肌の色。人間の目は皮膚の色の非常に微妙な色調を見分ける能力があるので、顔料を混ぜて作るプラスチックで狙い通りの色を作るのは案外難しい。プラスチック自体の光をわずかに透過する質感も合わせて、この消え入りそうな色白の肌をパーツ状態で実現しているのはかなりスゴいことなのだ。

メインディッシュを先に組んだ。劇中ではいつもオーバーサイズのジャケットを肩からずり落ちた状態で羽織っているノワールだが、それを「通常時」と解釈して、二の腕は肌が露出した状態で前腕部がジャケットのダボッとした袖に覆われている状態としている。よく動くことがプラモデルの評価基準のひとつになって久しいが、肘に入れられた関節ギミックでわずかにしか動かない、「可動に制約のある設計」としたことがすごく奥ゆかしいではないか。

関節ユニットは先立って組んであった30MSの櫻木真乃と同じ直径だったので、ジャケットだけを借りてきて組み替える。女の子がオーバーサイズを着ているのはとてもフェティッシュだ。出番を迎えて舞台袖からいざ出てゆかんとするアイドルのようにも見えて、武器や派手な装備以外にも女の子プラモに汎用性のある演出があることになんだか豊かさを感じた。「仕草」をデザインするパーツだって、可動プラモに盛り込めるのだ。