1/200、全高36cmの巨大モケイです。本物は大阪モノレールから2度ほど遠巻きに眺めただけですが、その存在感が家にやってきたら大変だということは容易に想像できます。表面のコンクリートの質感までバッチリなのは、海洋堂がこれまで1/144スケールや1/350スケールでソフトビニール製完成品を発売してきたことも寄与しているでしょう。とにかくその質感は「巨大であるからこそ嬉しい」というほかありません。ハコ開けてこれが出てきたら笑っちゃうでしょう。
背面に彫られた「黒い太陽」の顔の彫刻(実物は信楽焼のタイルが貼られているそうです)もおみごと。とにかくあらゆるところのテクスチャが実物っぽさを醸し出しているし、何より重たい。重たいプラモデルはそれだけで強烈です。
そして太陽の塔をみなさんにおすすめしたい理由は「縦に長い」ということ。これが飛行機模型だったり戦車模型だったりフネの模型だったりしたら置き場所をとって大変ですが、底面の直径は10cmほど。置き場所がないなんて言わせません。ガンプラがこれほど流行ったのは「縦に長いから一定の面積に置ける数が多い」という理由ではないかと私は睨んでいますが、同じ論法で行けば塔の模型は流行るはずです。縦に長いので。
ただ単に外側から見える塔のルックだけを再現しているのならば、前後をパカッと合わせておしまいでしょう。しかしこのプラモは内部も徹底的に再現しています。なぜならこの塔は4つの顔と内部の展示空間からなる巨大な美術作品だからです。
大阪万博開催当時、人々は地下空間から太陽の塔内部を「生命の樹」に沿うように上昇し、空中展示へと導かれていたと言います(地下空間もテーマ館も当時のものは現存せず、いまは太陽の塔のみが残されています)。果たしてそれがどんな体験だったのか……というのが、じつはこのプラモデルで再現されています。その全容はまた今度。ぜひ買ってきて、一緒に眺めながら驚きましょう。本当に、すごいプラモデルです。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。