接着剤不要キットのアメリカンカーモデルを見つけたのでニッパーひとつで快速モデリング。ドラッグスターは良い。実車にしろその模型にしろ思いが一点突破すぎる、夢見心地な存在だから。
19歳の夏にカナダの片田舎でドラックレースを見た。通っていた職業訓練校のボディリペアの講師は隙さえあればカスタムに勤しんでいた。その町恒例のカーフェスティバルに向け、新たな愛車を仕上げるために。帰国すると「あんなライフスタイルは日本では叶わない」がリアルすぎて、北米での2ヶ月は夢でしかないと割り切った。その後、クルマを仕事にはできたが趣味にはできなかった。
あの頃、憧れた夢がつまっている。去年、アメリカンカーモデルを初めて手にして、くすぶっていたモノが何かスッキリしたしライジングした。思わず当時の写真を引っぱり出すほどに。今回「スナップキットってなんだろ?」と手にした『リル・タランチュラ』はさらに濃厚だった。まず箱が、説明書が、フルスロットルでアメリカ。キットを前にして「こんな夢みたいな自動車こそ模型でも楽しめよ!エンジョイ!」とあの連中に言われた気になる。そして毒グモがモチーフとか「あいつら好きそうだな~(笑)」とニンマリ。
去年組んだAMTのスティングレーカスタムは噛みごたえタップリなアメリカンステーキ風だったけど、今回のスナップキットはマジで爆速ゴールするので笑った。いや、前のめりにディフォルメされたタイヤを初手で組んでまず笑うのだが。ようは工作している最中、笑いっぱなしでゴキゲンなキットなのである。そのうえ工作で苦労が一切ないのでカジュアルさが極まっているとも言える。
アメリカンカーモデルって「好きな色で塗ろうぜ!」と、ボディが白いイメージがあるのですがこのリル・タランチュラは美しいキャンディーグリーン。写真奥のMPCの’34スラマーはタミヤスプレーのキャンディーライムグリーンで塗装してあるのですが、このキットの成型色も引けを取らないくらい綺麗なキャンディー感。良い。このリルなシリーズですが、もうひとつ『リル・レッドバロン』というキットを見つけたので並べてみたいぞ。
台座を付けるとウィリーぎみになるので、同じ1/32スケールのカーモデルという事でワイルドミニ四駆を引っぱり出して並べてみた。どちらもドリーミーな世界観で驚きのマッチング。こーゆーキッズ向けアニメがあってもおかしくない。どちらの自動車プラモも似たような考えのもと、それぞれの方法論でカタチになっているのではないかと妄想がはかどる。この日本においても夢の追い方があるじゃないか。俺、自動車という趣味に背を向けず、夢をいだき続けて接するべきだったな。いや、いまからでも遅くはない。プラモならばー。
最後に。このところ自動車整備士について思いを馳せています。離職率が異様に高い職業のひとつで、自分も辞めたそのひとり。いつか夢をもってクルマに接し続けられる仕事になっていってほしいな。
「つくる」をテーマに、世間話をしています。