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時の波を越えてきた、ハイディティールプラモ!/アトランティスモデル エド・ロスの”SURFINK!”

 この夏、最高のプラモデルを組み立てる事で私の夏休みは完成した。アトランティスモデルの”SURFINK”だ。1964年にレベル社から発売されたプラモデルの金型を利用して、リバイバルしたキットだという。こんなプラモデルがあるなんて知らなかったのだけれど、たまたまネットサーフィンしていたら出逢ってしまった。本当にラッキーだった。ふとラジオから流れる50年前の音楽が当時生まれてもいない私の耳を震わせるように、彼のビジュアルは時代を超えて私の脳を強烈に揺さぶった。

▲プラモデルのパーツは横から見ると楽しい。

 こんな複雑且つ大きなパーツが金型から抜けるのか!抜けるようにデザインされたのか!と思うと、感動してしまう。そしてパワフルで繊細な彫刻は、デザイナー・エドロスの描くモンスターが持つキュートでグロテスクでワチャワチャした筆致を、とんでもなく大胆に立体に落とし込んでいる。

▲パッケージにはサーフボードを抱えて驚くエド・ロスおじさん。よく見るとジャギっている。
▲人間の手の様でまるで違う。モンスターの手だ。カニはカニだ。

 デフォルメされているのに、生々しく立体的な手のパーツ。まさにおどろおどろしいという感じ。カニの甲羅が微妙に波打っている感じも生物っぽさ全開。キットのどこをとっても豊かな造形のオンパレードなのだ。「イラストを再現!」なんて、よくある謳い文句が陳腐に感じてしまうほどに、「パッケージイラストを超越!」しているかのような凄みがある。

 そしてパーツは少なくシンプルだ。大きなパーツを接着剤でパカパカと貼り合わせていく。髪の毛やカニはいろんなところに接着出来るので自由度も高い。楽しい。しかしバリは多いし、特に本体はそのまま貼り合わせると盛大にスキマが出来るので、デザインナイフで削りながらの調整が必要。全くカタチがズレているというワケでは無いので、丁寧に調整すればピッタリと合わせられるだろう。

 私はというと、調整はそこそこにして接着剤パワーで無理矢理合わせ目を押さえ込もうとしたところ、写真のように右半身が完全に浮いてしまった。頭と左半身はバッチリに接着されているのだが。しかし、これはこれでプラモデルである事の痕跡、メディウムを感じさせるので現状で良しとした。

▲口の中のパーツも入れ忘れてしまった。これはこれで、がらんどうになって面白い。

 ペラ紙1枚の説明書の最後には、エド・ロス風に塗装する為のヒントが書かれている。モンスターの肌はピンクかパープルかグリーンで塗るのがイイらしい。パッケージイラストの肌は全然違う色だったような気がするけれど?しかし、この委ねられている感じ、居心地が良い。そして、とても迷う。彫刻が良いので色を塗ることさえ勿体無いのだ。色を塗るのに迷うのは、素敵なプラモデルの証だと私は思う。

ハイパーアジアのプロフィール

ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。

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