なんか……ハコが異様に重い。中から出てきたのはローカル線の鉄橋みたいなパーツたちが4枚と、子供がお絵かきしたような飛行機の半身が収まった2枚。こちら、V-1飛行爆弾+カタパルト式発射機のプラモデルです。V-1というのがいかにトンチキな兵器だったのかはWikipediaとかを読んでください。
>ホビコレ モデルコレクト 1/72 ドイツ軍V1飛行爆弾&カタパルト発射機
V-1はパルスジェットエンジンで飛んでいく無人の爆弾。ジャイロと高度計だけが積んであるとても原始的な誘導装置で、「だいたいここがロンドンだな」というところでエンジンが切れてポトッと落ちるというミサイルの先祖みたいな存在です。ものすごく大量に発射されたけど、目標にちゃんとたどり着いて爆発したものはとても少なかったとされています。でもイギリスの人々からしたら恐怖の対象。英空軍博物館にも「こんなもん飛ばしやがってよぉ」とでも言いたげに展示されています。
V-1のプラモはこれまでにもたくさん発売されてきましたが、モデルコレクトの本キットはV-1本体をわずか5パーツでサクッと表現。どっちかというと、本体はこれを発射するためのカタパルトだと言えましょう。V-1はスジ彫りとかもすごく太いしリベットもごっついし、ラムジェットエンジンのインテークもなんだか分厚い。要は……「V-1のカタチに見えればいいっすよね」という感じの設計です。楽しいからいいけど。
んで、こっちがカタパルト。左右合わせのユニットを5個つなぎ合わせて全長40cmほどの細長い物体を組め、と書いてあります。パーツ同士の位置決めはユーザーに丸投げだし、左右対称になっていなければいけないはずの部分に微妙な段差があったりして、設計や金型加工はちょっと稚拙な感じがしますが、まあ四角いもんをふたつ貼り合わせてつなぐだけだから、そんなに難しいもんじゃありません。
組み上がると傾斜の付いたカタパルトとそれにちょこんと乗っかったV-1がいっちょアガリ。ちなみに最初のランナー写真を見れば分かるとおり、2セット入りです。これが2個あるジオラマを作ろうとしたら広大な面積が必要でしょうし、だいたいどんなシチュエーションになっていればいいのか皆目見当もつきません。こういう「なんか2個入り」というのは友達やパートナーとシェアしてパピコのように楽しみたいもんです。
V-1の運用記録を見ると、発射装置は案外フレキシブルに展開していたようで「巨大な構造物をそんなに簡単に動かせます?」みたいな気持ちになります。しかしこうして1/72スケールの戦車と並べると、橋桁のひとつひとつはギリギリ重機で持ち上げられそうな雰囲気もあり、大量にユニットごと作って各地にバンバカ輸送したんだろうなということが手応えとしてわかってまいります。プラモデル組まないとこういうのはわからんよね。
ちなみにこのプラモ、全長1mを超す「デラックスエディション」というのも発売されていて、やっぱり「V-1のカタパルトのプラモがあったら面白いですよね」「そうだね、ユニットをめちゃくちゃいっぱい繋いだらすっげえ長くなったりしてね」「HAHAHA」みたいな会話を想像しちゃいます。V-1だけを組んでいてはわからない、こいつがどうやって飛び立ったのかを知るプラモ。みなさんもぶっきらぼうなカタパルトにぜひ注目してください。そんじゃまた。
>ホビコレ モデルコレクト 1/72 ドイツ軍V1飛行爆弾&カタパルト発射機
>ホビコレ モデルコレクト 1/72 ドイツ軍V1飛行爆弾&カタパルト発射機【限定最大長デラックスエディション】